大人になると子供の頃の
美しい心をどこかへ
置き忘れてたかのように
思い出すことすら難しい。
あの頃、確かに僕らは
純粋だった。
こんなクイズがある。
『サッポロ、キリンで
想像するものは?』
大人に聞くと大半の人が
『ビール』
と答えるらしい。
だが、札幌の子供に聞くと
『円山動物園』
と答えるそうだ。
それもそのはず。
彼らはビールを知らないし
幼稚園の遠足といえば
札幌市内では、ほぼ100%が
円山動物園に行く。
サッポロ、キリンで
想像するものが動物園
とはなんとも微笑ましい。
この話をうろ覚えのまま
自宅に帰り、僕の7歳の息子に
聞いてみた。
『なあ、クイズを出すぞ。』
息子は目を輝かせて
絶対当ててやると
鼻息も荒い。
『サッポロ、キリン、と聞いて
思いつくものは?』
『え~っとねぇ。
北海道のキリン!!!』
おっと。
なんじゃそれ?
『え?動物園じゃなくて?』
『うん。北海道のキリン。
お父さん、北海道は広いけ
キリンがおるかもよ。』
『見たことあるん?』
『ないよ~!
あるわけないやん。』
だめだ。
話にならない。
よし、今度は4歳の娘だ。
『ねえ、サッポロ、キリン
って聞いて何を思いつく?』
『な~んも思いつかん。』
『いや、もうちょっと考えてん』
『首が長い!』
う~ん。サッポロは?
無視?
問題の出し方が悪かったのか?
それとも育て方が悪かったのか?
ともあれ、わが子たちが
一般的じゃないことだけは
分かったぞ。
すると息子が今度は
自分が問題を出すから
お父さん答えてみてと
せがんできた。
『キリンの角は何本でしょう?』
『そりゃあ、お前、2本やろ?』
『ブッブ~。
全部で5本でした。』
と、タブレットでキリンの画像を
出し、僕に見せる。
こことここと、と
角のある場所を
指で示しながら
耳の後ろにも2本あるんだよ
と教えてくれた。
『メスを取り合うときに
戦うためにあるんやけどね
耳の後ろの角は
後ろ向いとるし、短いし
何の役にも立たんやんねぇ。』
きゃっきゃっきゃ。
ああ、息子よ。
お父さんは君の童心を
確かめたかっただけなのに。
サキガオモイヤラレル
合掌