310発目 パクる話。


無法松の一生

最近の富島は仕事が終わると

まっすぐ家に帰らずに、吉岡家に

向かうことが日課になっていた。

 

数週間前の出来事だ。

 

富島の仕事は与えられたエリアの

企業を巡回し荷物を集配することだ。

青と白の作業着姿は企業の

女性社員にも人気で、東京の方では

富島の同僚達が写真集にもなっていた。

 

その日も、いつものエリア、富島は

小倉駅周辺なのだが、駅ビルに入る

企業から小包を送りたいと連絡が入り

集荷に向かう途中だった。

 

階段を駆け上がる富島の目に

飛び込んできたのは細いからだの

少年だった。

 

階段を踏み外し富島の右側に

落ちてこようとしたのをダイビングキャッチ

したことで少年はかすり傷一つ

負うことはなかった。

 

少年の母親が近づいてきて

何度も何度も富島に頭を下げた。

 

周囲は、さすがセールスドライバーだ!

と富島に拍手を送った。

 

富島のこれまでの人生で

最も輝いた瞬間だった。

 

少年の名は吉岡敏男と言った。

母親は良子。

 

この事が縁で吉岡家に招待された

富島は父親の小太郎ともすぐに

打ち解けた。

 

もともと竹を割ったような性格の

富島は次第に吉岡家の全員と

打ち解けてきた。

 

今日も富島は吉岡家へと向かう。

 

敏男と遊んでやる約束をしていた。

 

思い起こせば富島は

博打が大好きで喧嘩っ早く

周囲からは疎まれる存在だったが

吉岡家との出会いと今の職業が

彼の性格をも変えていった。

 

そんなある日、敏男の父親の

小太郎が急逝した。

 

悲しみに明け暮れた富島は

どうにか悲しみを振り払い

世話になった小太郎の墓前で

手を合わせ、残された母子を

守ることを小太郎に誓った。

 

敏男もそんな富島を慕い

弱かった体も徐々に成長していく。

 

富島は敏男の成長を喜びつつも

未亡人となった良子への想いを

募らせていった。

 

やがて敏男は成人し、吉岡家へ

行く口実を失った富島だったが

良子への想いは消えず・・・・・

 

さて、ここで問題です。

富島のニックネームは何でしょう?

 

ヒントは彼の下の名前は

松五郎です。

 

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合掌

 

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