スドウの家に最後に行ったのは
高校の卒業式の日だった。
彼はとあるバンドのベーシストで
男前で女子に大人気だった。
背はさほど高くないが顔が小さくて
可愛らしい目をしている。
ただ、要領が悪いため
修学旅行先でただ一人だけ
喫煙が見つかり翌朝まで
先生の部屋に閉じ込められていた。
僕はそんなスドウが大好きだった。
何より僕は美人や男前が好きなのだ。
彼の横に並ぶと自分の顔が
大きく見えるのではないかと
心配にはなるがそれでも
僕は平気だった。
もちろん恋愛の対象は女性に限るが
男性でも美しい物は美しいと感じる。
そのため私の男友達のほとんどは
男前でやさしくて女性にもてる。
スドウにはお姉さんがいて
彼女もまた格別に美人だった。
と、言っても僕はスドウの家で
数回会っただけで今となっては
顔を思い出せないくらいの記憶だが
確か初めて会ったときは
ため息が出るほど美人だ
と思った記憶がある。
スドウの家のリビングで
貰ったばかりの卒業アルバムを
みているとお姉ちゃんが帰ってきた。
『あ、卒業アルバム?
見して見して!』
お姉ちゃんはそう言うと
アルバムを受け取り
ペラペラとページをめくりだした。
しばらくするとお姉ちゃんは
僕たちにこう尋ねた。
『ねえ、この人だけ
前に出て来て写ってるね。』
見るとそれは他の誰よりも
ひときわ顔の大きな男だった。
スドウの顔の大きさを1とすると
彼の大きさは2,000~2,500だ。
お姉さん、それはただ単に
顔が大きいだけの男ですよと
説明をするがお姉さんは
すでにそんな事は聞いてはいない。
『前に出る男。デタガリ。』
と嬉しそうに呟いていた。
どうか写真家の皆様。
顔の大きな子がいたら
後ろに下がって撮ってあげて
ください。
遠近感が狂うから。
元気かなぁ。
サンチェ
合掌