268発目 高級ブランドの話。


ロレックス

私の友人で武者小路実篤という名の

男がいる。もちろん偽名だ。

 

実篤は仕事柄、海外への

出張も多い。らしい。

 

国際的な仕事をしている

らしいのだが何度聞いても

仕事の内容がよく分からない。

 

会社の同僚にも外国人が

何人かいるらしい。

 

中国国籍の同僚が

結婚するということで

中国に招待されたとのこと。

 

帰国した彼と会うと

腕に金ピカの腕時計が

光っていた。

 

ロレックスだ。

 

実をいうと私はいわゆる

高級ブランドに興味がない。

 

腕に数百万もの値段の

腕時計をはめるなんて

もっての他だ。

 

スーツだって、数十万の

高級スーツを着ようとは

思わない。

醤油をこぼすと台無しだ。

 

だから彼の腕時計については

一切触れなかった。

 

 

ところが彼は自慢したかったのか

自分から切り出してきた。

 

『ヤマシタ、これロレックス。』

 

『どうしたん?買ったん?』

 

『この前、同僚の結婚式で

中国に行ったときに買った。

意外と安かったぞ。』

 

更に私が嫌いなのは

高級なものを安かったという

しょうもない自慢だ。

 

~ああ、これね。安もんだよ

いくらだったかな?200万くらいかな~

 

とか言うヤツ。

 

お前はポール牧か!と

突っ込みたくなる。

 

実篤とは中学からの親友で

こんなヤツじゃなかったのに

と失望した。

高級腕時計を自慢するなんて、

こいつも変わったなと

嘆きそうになった。

 

『なんぼやったんか?』

 

一応、礼儀として尋ねた。

 

『1万円』

 

おい、それは偽物じゃないか?

ロレックスに興味はないが

1万では買えないことくらい

知ってるぞ。

 

彼は反論した。

 

『偽物やないわ!』

 

そして私に偽物じゃないという

証明をするように腕から

時計を外しテーブルの上に

コトリと置いた。

 

そしてふふんと鼻の穴を

丸く広げこう言った。

 

『しかも水に浮くんぞ。』

 

ああ、そりゃ間違いなく

 

ニセモノダ

 

合掌

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