652発目 南米の話。


何かを話し始める前に 「面白い話があるんだけどさぁ」 と言う人の気が知れない。

 

その後に続く話が面白かったためしがないからだ。

 

しかも、その話が自分の体験談ならまだしも、誰かに聞いた話しだったり、又聞きの又聞きだったりするもんだから、より一層、面白くない。

 

「ねえねえ、聞いてよ。昨日さ面白い話聞いたんだけど。」

 

「どうした?」

 

「ナオちゃんって知ってる?」

 

「知らん。」

 

「その子がね、豆腐食べようとして、醤油と間違ってソースかけたんだって。チョーウケル。」

 

 

・・・・・・・スベってますけど。

 

この話のミスは3つある。1つ目は最初に述べたように「面白い話」と自らハードルを上げたこと。2つ目はナオちゃん知らないのに、そっちのけで話が進んでいくこと。3つ目はオチを急いだこと。

 

 

これらを踏まえて、ライナーノーツならこの話がどうなるか、見てみよう。

 

「ねえねえ、あのさ、ナオちゃんって知ってる?」

 

「知らん。」

 

「あの私の友達でさ、目鼻立ちがやたらクッキリしてて彫が深い子おるやん?」

 

「ああ、あの外国人っぽい子?」

 

「そうそう、あの子さ中学のときのあだ名が南米やったらしいよ。」

 

「すごいあだ名やな。で、その南米がどうしたん?」

 

「先週末やけど、実家に帰っとったんて。」

 

「実家ってどこ?」

 

「ブラジル。」

 

「嘘付け。」

 

「春吉とか清川とかそのへん。」

 

「嘘かい!ま、嘘やろうけど。で、それがどしたん?」

 

「晩御飯のときにさ、豆腐が出たらしいんよ。」

 

「うん。」

 

「ほんで、醤油と間違ってサルサソースかけたらしいよ。」

 

「南米やん!」

 

「それ見たお母さんがさ、こう言ったって。」

 

「なに?」

 

「Nossa!」

 

「何それ?どうゆう意味?」

 

「英語で言うところのoh my god . ポルトガル語らしいよ。」

 

「南米やん!」

 

「ほんで、いい歳して帰りにお母さんからお小遣い貰ったらしい。」

 

「なんぼ?」

 

「200ペソ」

 

「南米やん!」

 

 

と、まあこれくらい盛ってくれれば成立するのにね。

 

 

ウソバッカリ

 

合掌

 

 

 

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