人間は誰しも他人から
認められたがっている。
誰かと仲間になりたいし
一人ぼっちにはなりたくない。
だから、私は仲間外れや
無視をするなどといった
相手の自尊心を傷つける
行為が大っ嫌いだ。
だが、世の中には
気づかないうちに
仲間外れをしている
ケースはある。
逆に、そうじゃないのに
勝手に疎外感を持ち、
『みんな、私を除け者に
してる!』
と被害者ヅラしている人も
いないことはない。
ともあれ、仲間外れは
よくない。
世の中から仲間外れを
なくすにはどうしたら良いか?
完全になくすことはできない
としてもかなり減らすことが
出来る方法を思いついた。
教育だ。
幼少のころから徹底して
仲間外れをしない人間を
作っていくのだ。
そのためにはまず
仲間外れのメカニズムを
解明する必要がある。
私の長年の研究から
仲間外れはある一つの
システムで構築されている
事がわかった。
このシステムを廃止することで
かなりの割合で仲間外れの
確率が減ると確信した。
教えよう。
そのシステムの名前は
『花いちもんめ』だ。
花いちもんめは二手に分かれ
相手チームの中から
自分のチームに欲しい
メンバーを指名して
それを相手チームに伝える。
あの子が欲しい と。
相手チームもそれはそれで
人数が減るとまずいから
じゃあ、代わりに誰か寄越せ
と逆指名する。
指名された者同士は
じゃんけんをし、負けたら
相手チームに行く。
この遊びはそもそも
『花一匁』と書く。
花屋が客から値交渉され
安く売ってしまって悲しい気持ちと
安く買えてうれしい買い手側の
気持ちを歌にした遊びだ。
そもそも一匁とは花を
買う時の単位だ。
この花一匁の問題は
『あの子が欲しい』
で、選ばれなかった子供だ。
選ばれないということは
裏を返せば『不要』だと
宣言されてるに等しい。
想像してみてくれ。
自分が最後まで指名されなかった
時のことを。
相手チームはどんどん人数が
膨れ上がり巨大な組織に
なっていくのに対して
自分だけが取り残され
相談する仲間もいなくなった
時のことを。
もはや、チームの勝敗よりも
最後まで選ばれずに一人で
ぽつんとその場に残ることを
避けようとするだろう。
すすんでジャンケンに負け
その巨大な組織へ飲み込まれようと
自ら進んで行くだろう。
さあ、俺を選んでくれよ!
とアピールすらしたくなる。
それでも選ばれずに
残された子供たち。
その子供こそが心に
深く傷を負い、将来
大人になって他人を
仲間外れにするのである。
ああ、想像するだけで
恐ろしい。
いや、待てよ。
最近の子供は
花一匁なんてするのか?
小学生の息子に聞いてみた。
『学校の休み時間に
こんなゲームはしてるか?』
私はあえて花一匁と言わず
ルールを説明して尋ねた。
すると息子の口から
こんな回答が飛びだした。
『うん、知っとうよ。
毎日やりよる。』
え?
そうなん?
そりゃ、まずい!
『あれやろ?』
そう言って彼が続けて
発言した内容に私は
別の心配を抱くしかなかった。
『はないきもんめやろ?』
鼻息匁!
コンポンテキニチガウ
合掌