338発目 背後の話。


ライナーノーツ

約束の時間まで、まだ少し

時間がある。

 

私は約束の場所の近くにある

時間貸しの立体駐車場に

車を停めた。

 

車を降り、背伸びをする。

 

車の後ろは、胸の位置くらいの

壁があり、その上からは

周囲が見渡せる。

 

札幌の空はどんよりとしていて

今にも雪が降りそうだ。

 

遠く西の方角に手稲山が見えるが

山頂には早くも冠雪が見える。

 

どうりで寒いはずだ。

 

体を温めようと壁の上端に

手をかけ、斜め腕立て伏せを

始めた。

 

何回出来るかな?

 

回数を数える。

 

一、プッ。

 

二、プッ。

 

なんと、7回目までは

腕立てと同時におならが出た。

 

おお、何回までイケルかな?

 

プップップ。

 

結局15回目でおならより先に

体力がなくなった。

 

ふと、人の気配がし、振り返ると

50代くらいの男性が

驚いた表情でこちらを見ていた。

 

目が合うと不自然なくらいに

視線をそらし、そそくさと

立ち去っていった。

 

いやん。

 

全部聞かれてたみたい。

 

ハズカシイ

 

合掌

 

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