317発目 見かけで判断できる話。


ライナーノーツ

正面から歩いてくる二人の男性は

丁度、俺の前で立ち止まった。

 

俺は壁に寄りかかり、注文した

ちゃんぽんが出来上がるのを

待っていた。

 

二人のうちの一人は

見るからに外国人だ。

髪の毛も眉毛もひげも

全てが金色だ。

 

もう一人の男は日本人だ。

 

こちらはメガネをかけている。

野暮ったいチノパンによれよれの

ダンガリーシャツを着ている。

半袖のダンガリーシャツは

裾のすべてをズボンの中に入れ

ベルトでぎゅっと腰を縛っている。

 

足元は革靴だ。ん?いや。

ビニール製だな、これは。

 

ああ、なんて野暮ったいんだ。

こうゆう見た目の男は女には

モテナイだろうな。

清潔感がまるでないわ。

 

そして、多分だが人付き合いも

苦手だろう。仕事もあまりできない。

 

でも、英会話の特技を認められ

今回、招待留学でやってきた

ケニーの通訳を仰せつかった。

見た目からはとても英語を

話しそうにないけどな。

 

多分、教授から

『サトウくん、確か君、英会話

出来たよね。今日は論文はいいから

ケニーに付き合ってあげなさい。』

って言われたんだろ?

 

来日したてのケニーが急に

『カイモノニイキタイデス』

って言うもんだから、普段は

こないイオンにやってきたんだろ?

 

ちょうどお昼時だから

フードコートに行って何か食べよう

ってことになって、今、俺の前に

いるんだな。きっと。

 

サトウはきっと、ケニーに

うどんを勧めるんだろうな。

これがジャパニーズ フーヅだよって。

モストフェイマウスだよって、言うんだろ!

 

ああ、なんか知らんが腹立ってきた。

 

ん?

 

どこに行くの?

 

二人は再び歩き出し

俺の前を通り過ぎて行った。

 

俺の持っていたベルが

ちゃんぽんが出来上がったことを

告げる。

 

ピーピーピー。

 

やっとできたか。と

カウンターに向かうと

また、今度は左からサトウとケニーが

やってきた。

 

何やら楽しそうに話してる。

ケニーがえらいウケてるなぁ。

やるなあ、サトウの奴。

英語で外人を笑わせるなんて。

人は見かけによらないってことか?

さっきは馬鹿にしてごめんよ。

 

サトウ、ケニーに日本の良さを

教えてやれよ!

 

俺の前を通り過ぎる二人の

会話が気になったので

耳を澄ましてみた。

 

 

『まさか、休みだとは思いませんでした。』

『アッハッハ、ザンネンデス』

 

日本語じゃねえか!

 

ミタメドオリ

 

合掌

“317発目 見かけで判断できる話。” への1件の返信

  1. こんばんは^^

    先日は、コメントありがとうございます〜

    私も時々、読ませていただいています。
    面白い文章を書いてらして…
    いくつかは、脳裏から離れません♪

    これからも、楽しみにしていますね。

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