49発目 物思いに耽る話


舞台IMG_1606
2012.05.31

ふと気がついて窓から外をのぞくと、もう真っ暗だった。
何度この窓から外を眺めただろうか。
日中の暑さを忘れさせてくれる穏やかな風が
まるでわが子の手のように私の頬をなでる。

パソコンのスイッチを切り、帰り支度を始める。
スタッフ達が私の動作に気づき『お疲れさまでした』と
声をかけてくる。

いつもなら、にっこり笑って、また明日と言うが
今日だけはその挨拶を背中で受ける。

事務所の外に出て、物思いに耽る。

出会いは別れの始まりという歌があったな、
などと考えるが、それをかき消す。
いつもの道を自然に歩き出す
その所作がなんだかおかしくなる。

駅に近づくにつれ、もうこの道を歩くことも
無くなるのかと思い、今のうちにこの景色を
目に焼き付けておこうと立ち止まる。

偶然、古い知り合いに会った。久しぶりと声をかけてくる。
こっちに帰って来てたんだと、
私は彼に説明する。
『6月1日の辞令で転勤になってさ、この町ともお別れだよ』
彼は複雑な表情を浮かべ、せっかく再会したのになと
残念そうにつぶやいた。そして、また帰って来いよとも
言ってくれた。別れ際に自転車にまたがりながら彼は

『じゃ明後日から新天地でがんばれよ』

あれ、今日30日だっけ?
あーあと一日あった~~~

というわけで本日がホントの北九州最後の日。

ジャアネ

合掌

じゃあねtaka-onya

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