167発目 偶然と言い訳の話


ライナーノーツ

沖縄を訪れたのは
今からもう20年以上前だ。

当時の友人達と
那覇市内を観光した。

那覇市の中心街に国際通りという
ストリートがあり、そのストリートの
ほぼ中央に位置するスクランブル交差点で
事件は起きた。

交差点の角にブルーズや
ジャズを生演奏するバーの
看板が出ていた。

信号待ちをしている間に
見るとは無しに眺めていた。

往年の有名なミュージシャンの
白黒写真が並んでいる。

友人の一人が
『誰か分かるか?』と
聞いてきたので、私は
端から順に目で追って確認した。

あぁ、分かるよ。

そう答えた私は
端から指をさし
エディーコクラン
エルビスプレスリー
チャックベリー
レイチャールズ
と名前を言っていった。

最後の2枚は日本人だった。
私は全て名前が分かった高揚感から
最後の二人だけは言い方を変えた

『ブルーズの女王、中尾みえ、
そして今は亡き、永六輔』

おお、すげえな。

友人は尊敬のまなざしで
私を見つめた。

信号が変わり横断歩道を渡る。

前から歩いてきた男性は
永六輔だった。

なんという偶然。

しかも生きてただなんて!

『いやあ、中尾みえがカラー写真で
永六輔が白黒だったから
死んでるかと思ってさ』

龍角散は買わないという
決心をした夏だった。

クルシイ イイワケ

合掌

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