705発目 手を使う話。


運行前点検とは
車に乗る前に
落ち度がないかどうかを
点検し、安全に
路上を運行できるための
事前準備のことだ。

もし、誰かのせいにしていいと言うなら
そうしたいくらいだ。
だが、こうなったのには
自分に非がある。

自問自答

ドアを開けた時だったと思う。
まるで自分の家のように
これといった確認はせずに
正位置についた。

そうか。
すでにこの時点で
間違いは起こっていたのか。

最初の段階で1mmずれると
100m先ではかなりの
誤差が生じるという話を
聞いたことがある。
それに近い現象だな。

もし、これが
みんなに起こったら
どうする?

今の私のような状態になったら
どう対処する?

詳細の説明

場所はファミリーレストラン
仕事の合間のランチタイム
私は一人来店した。

テーブルに案内され
席に着いてすぐに
カレーライスのセットを
注文し、そのまま
店員にトイレの位置を尋ねた。

トイレに入った。
正面に小便器があり、
その隣に手洗い用の洗面ボウル。
反対側には木製のドアがある。
開けるとその奥に
大便用の便座がある。

私は前述のとおり
そこに座った。
何の疑いもせずに
座った。
そして用を足した。

もう一度 自問自答

ここまでは正解だろ?
便座に無事に座ったら
用を足すだろ?

そしたら拭くだろ?
備え付けのティッシュで。
ああ、拭くさ。
だが、そのティッシュが
ないのだ。

周囲を見回しても
ストックすら置いてない。

ティッシュがないのに
座って用を足したのは
俺が悪い。
いや、俺が悪い?
ティッシュを備え付けて
ない店員が悪くない?
ストックを置いてない
店員が悪くない?
いったい誰が悪いんだ?

そうじゃない。
私が今、一番知りたいのは
この白くてすべすべの
お尻を綺麗にする方法だ。

①店員を大きな声で呼ぶ
②拭かない
③代替品で拭く

まずは①をやってみる。

「すいませ~ん」
「誰か~」

あ~、だめだ。
恥ずかしくて大きな
声なんて出ない。

だったら②か。
いやだめだ。
強烈な臭いは
ごまかせない。
それ以前に、多分だが
拭かないと
むずがゆい気もする。

と言うことは
やはり③か。

代替品って何がある?

上着のポケットを探るが
何も入ってない。
カバンは駐車場の車に
入れっぱなし。

お!
パンツか?パンツでいくか?
いや、この後の莫大な時間を
しれっとした顔で
ノーパンで過ごす勇気はない。

どうする?
どうする?

そして結論は出た。

手だ。
こうなったら手で拭いて
しっかり洗えばいい。

私は人生で初めて
用を足したあとの
処理を素手で行うことになった。

感触や気分についての詳細には
触れずにおこう。


かくして、なんとか
事なきを得て
自席へもどった。

店員が近づいてくるたびに
手の平の残り香に
気づかれやしないか
びくびくしながらの
昼食となった。
よりによって
カレー頼んでるし~。

冷や汗と、カレーの辛さで
顔面は汗まみれだ。

ズボンのポケットから
ハンカチを出して
汗を拭く。

こっちや~ん。
手じゃなくて
こっちやったや~ん。
ハンカチくらい
捨てて良かったや~ん。

シッカリアラッタカラキタナクナイ

合掌




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