113発目 怖かった話。


Qtaro
友達が数人集まると
誰が一番勇気があるのだ、みたいな
話になる時がある。
ここぞとばかりにそれぞれが
自分の武勇伝を披露しだす。

じゃあ、有名な心霊スポットで
肝試しだ。となったのは
大学2年生のときだ。

福岡でも有名な心霊スポットがあり
市内から車で30分ほど山の中に入った
ダムのふもとにある、無人の旅館が
それだ。名前は伏せておこう。

旅館の前には川が流れており
正面に向かう橋が架かっている。
橋のこちら側、つまり
旅館の反対岸に車を停める。
すでに一台車が停まっており
先客がいるようだ。
若干だが安心する。

しかしあたりに明かりはなく
物音一つしない。

この時点で、さんざん武勇伝を
披露した私は、不覚にも
完全にビビッていた。

足は震え、逃げ出したい気分だった。
おそらく一緒にいた誰もが
同じ気持ちだったのだろう。
誰が言い出すわけでもないのに
我々は全員腕を組んで
その橋を渡りだした。
一人ではとても動くことすら出来ない。
それぐらい恐怖に包まれていた。
誰もが声を発することすら
憚れて、押し黙っている。

持参した懐中電灯をつけ
旅館を照らしてみる。
いたるところに落書きがされ
窓という窓はすべて
ガラスが割られている。
とにかく気味が悪い。

カサッ

全員がいっせいに物音のほうに
目を向ける。全身が硬直する。
懐中電灯も向ける。

気配がする。何かおるぞ。と
友達の一人が声を潜める。

勇気を振り絞り近づく。
エントランスドアのあたりだ。
床に黒い塊があり、
どうやらそれが動いたようだった。

『何だあれ?』とその塊に
懐中電灯をむけたら、
その塊がゆっくり振り返った。

人に見えた。顔じゃないかあれ。

ギャーという叫び声を上げ
我々はいっせいに車めがけて
走り出した。
逃げろ逃げろ。
何だあれ?なんなんだあれは?

ようやく車まで戻りヘッドライトつけ
もう一度、その塊のほうへ
いや、人のほうへ光を向けたら
その人は、あわてた様子で
ポケットティッシュで
お尻を拭いていた。

こんなとこで野グソするなよ!!

ホントニコワカッタ

合掌

“113発目 怖かった話。” への2件の返信

ふみ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

*