最悪


「うわぁ、もう最悪やん!」

って口にすることがたまにだが、ある。

 

もう、やることなすこと、すべて裏目に出て、何をやっても上手く行く気がしない、という状況だ。 そうゆう状況に陥ったら、あせらずにじっと、ただ嵐が通り過ぎるのを待つのが得策なのだが、人間の心理と言うものは残酷なもので、そういう時に限って、やらなくてもいいような行動を取り、余計に自体を混沌とさせてしまう。

 

この物語は「最悪」な状況を迎えた別々の3人の話だ。 まったく他人同士の3人の最悪な人生が交差したとき、いったい何が起きるのか?

 

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近所に出来たマンションの住人から騒音についての苦情を受けていた。しかし彼に言わせれば「俺たちの方が先にここに住んでいた。お前達が後から来たのだから少しくらい我慢しろよ」ってのが正論だ、そう思っていた。 マンションの住人が区役所に騒音を訴え、役所の職員が騒音計を持って工場にやってきた。 ちょうどその日は日曜日で、取引先からどうしても月曜日までにネジを500個作ってくれと頼まれていた。他にも急ぎの仕事があったが、下請けの悲しい性なのか、川谷社長は断れずに引き受ける。小さな仕事を断って取引自体を切られることを懸念したのだ。そのため、いつもなら休みのはずの日曜日に工場の機械を動かしていた。役所は川谷に条件を出す。「せめて日曜日くらいは機械を動かさないで欲しい」「そんなこと言われたって、私だって休みたいですよ。でもね取引先から言われるとあたし達は断れないんですよ。それともなんですか?役所の人は住民の静寂を守るためにはあたしらみたいな町工場は倒産してもいいって、そう言うんですか?」

 

地元川崎の信用金庫に勤めるみどりは、職場のセクハラと家庭の問題に悩まされていた。会社が所有する保養所で年に1回のBBQが行われるのだが、その出欠表が廻ってきた。昨年、勇気を出して欠席を表明した先輩は、今年の4月で飛ばされた。自由参加とは名ばかりで、実際にはほぼ強制参加なのだ。しかたなく参加したみどりは、全然楽しめるはずもなく、やけ酒を呷っていた。少し経つと気分が悪くなり、木陰に行ってこっそりと戻していた。そこに支店長がやってきて開放してくれたのだが、支店長も酔っているのか、シャツの中に手を入れてきて、果ては股間も触ってきたのだ。みどりは必死で抵抗するが、酔った身体は自由が利かず、支店長のなすがままになる。偶然、支店の同僚が近づいてきたことでそれ以上の災難は免れたが、みどりの心は大きく傷ついた。

 

定職に就かず、毎日をパチンコをして過ごす和也はそのパチンコ屋で知り合った男とトルエンを盗みに行く。まとまった金が手にはいることを知った和也はそれからも、その男と組んで何度かトルエンを盗んだ。男は地元の先輩と言う人にそのトルエンを換金してもらっていたのだが、おそらくその地元の先輩とはヤクザだと和也はうすうす感づいていた。あるひ、パチンコ屋で知り合った男は和也に「ちまちま稼ぐより、一気に金庫でも盗もうぜ」と声をかけてきた。和也はその誘いに乗り次第に泥沼にはまっていく。

 

3人3様の人生がある1点で交差しだしたとき、3人の最悪な人生がより最悪になり後戻りできなくなる。

 

この小説は「徹夜小説」と呼ばれるほど、読み出したら止まらない作品となっている。

 

私も実はこの作品をわずかな空き時間の全てを使っておよそ4日で読了した。正直に言うと続きが気になって仕事に支障をきたしそうだったくらいだ。

 

さあ、暑くて眠れないボーイズアンドガールズはこれを読むべきだぜ!

 

合掌

 

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