669発目 指使いの話。


身体の中で最もよく使う部位はどこだろう?

 

「当然、脳ミソだよ。」

 

NO!NO!NO!

 

見えてるトコロ限定で。

 

じゃ、やっぱり『手』かなあ? 特に指。

 

ここ数年、原因不明の肌のカサカサに悩まされてるヤマシタは皮膚科で処方してもらった塗り薬を、夜寝る前と朝起きてからの一日二回、必ず塗る。

 

薬指とは名ばかりで、実際には人差し指で塗っている。

 

お風呂に入って身体を洗う際にも指をふんだんに使う。 特に足の指の間のトコロを洗うときは、ゴシゴシタオルを中指に巻きつけて洗う。

 

耳がかゆいときは小指か? 鼻は? 鼻クソをほじるときは小指?

 

ほじる? ほじるって方言か?辞書を引いてみよう。

 

ほじる【口頭】ほじくる。

 

何っ! じゃあ、気を取り直して

 

ほじくる【口頭】ほじるの強調形。

穴を掘るようにして中の物をつつきだす。

 

なるほど、そうか。 そうすると、俺が小指でホジホジやってるのは、本来の「ほじくる」とはちょっとニュアンスが違うな。「穴を掘るように」って、そこまでガンガンにほじってないもんなぁ。

 

 

話は変わるが、先日、家族でディナーバイキングというものに行って来た。ブッフェ形式のレストランで、中華やお寿司やイタリアン、果てはアジア料理まで取り揃えており、大人気のレストランだ。取り留めがないとも思うのだが。

 

17:00頃に行ったにもかかわらず、店の前には長蛇の列が出来ていた。でも子供達が喜ぶし、仕方ないな、と並ぶことにした。

 

システムとしては一組当たり2時間という時間制なので意外にも早く順番が廻ってきた。 ま、実際に食事をみっちり2時間かけてする人の方が少ないということだろう。

 

客の回転の速さは入店してからの方がはっきりと感じられた。まず、我が家が座ったテーブルの両隣が席を立ち、新たな客が入ってきたのだが、その客は我が家よりもずっと後ろに並んでいた家族とカップルだった。

 

家族連れの方はどうやら3世代が集まってると思われる。おじいちゃんとおばあちゃん。息子夫婦に孫が3人。

 

席に着くや否や子供達は食事を取りに行った。おじいちゃんは、よっこらしょ、と腰を下ろす。すぐにおばあちゃんが「何を飲みます?」と聞いた。

 

おじいちゃんは、むっすりと下唇を突き出して「あったかいお茶」と言った。すぐにおばあちゃんが甲斐甲斐しくお茶を注ぎに行く。

 

ああ、この夫婦はもう何十年もこうやって生きて来たんだなぁ、と思う。一方息子夫婦の方は、旦那が食事を取りに行き女房は座ってスマホに夢中だ。本当に同じ親子か?もしかしたら娘夫婦なのか?

 

おばあちゃんが、お茶を注いで戻ってきた。そして椅子に座る前におじいちゃんにこう言った。

 

「ちょっと、お父さん!やめてください。こんなレストランで」

 

見るとおじいちゃんはテーブルに肘をついたまま、鼻をほじっていた。

 

「いつも言ってるでしょ。家の中だけにしてくださいな、恥ずかしい。」

 

おじいちゃんはそれでも鼻をほじるのをやめなかった。ああ、と生返事を返す。本人が恥ずかしがってないのにおばあちゃんの方が恥ずかしいなんて、昔の人は奥ゆかしいなぁ、と思いながらおじいちゃんをもう一度見る。

 

親指でほじってる!

 

おお!その指を使うのか!

 

それはまさに「鼻を掘る」にふさわしい行為だ。 正統派の『ほじくる』だな。

 

ハナノアナガヒロガリマスヨ

 

合掌

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