651発目 速い話。



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同僚と事務所の近くで酒を飲み交わした。 話題は多岐に渡り、とはいえ、そのほとんどは上司や会社に対する愚痴めいたものではあったが、それなりに有意義な時間を過ごした。

 

それぞれの住まいは横浜駅から電車で30分以上離れているため、10時前ではあったがお開きとなった。

 

さて、そうなるとまだまだ飲み足りない気がして、更に言うと、私の自宅への終電まではまだまだ2時間近く時間がある事も手伝って、更に更に付け加えるなら、その日の私の財布にはまだ1万円以上の現金が残っていた。

 

それを使ってしまうと、明日からのお昼が質素になる、などという考えが一瞬ではあるが頭をよぎったが、無視をした。宵越しの金を持たないことが如何に愚かなことか、ということに気がつくのは恐らく明日以降だろう。

 

横浜駅前のロータリーを横切り、鶴屋町の方へ足を向けた。 週末の金曜日だったからか、人でもそれなりで、焼き鳥屋を数件覗いてみたが、どこも満席だった。

 

と、そこへ一人の若い女性と目が合った。 彼女は嬉々として私に近づいてきてチラシを差し出した。

 

「どちらかお探しですか?いまならすぐにご案内できますけど。」

 

こちらが望んでも無いのに近づいてくる女性には細心の注意を払うのが、飲み屋街での鉄則だ。私はいくつかの質問をぶつけることにした。

 

「そのお店はジャンルは何?」

 

「居酒屋ダイニングです。」

 

「焼酎は置いてるかい?ウィスキーでも良いのだが。」

 

「もちろん置いてます。今なら2,000円で飲み放のチケットを差し上げます。」

 

「飲み放ってのは飲み放題って意味だよね?」

 

「そうです。」

 

「飲み放題だけ頼むって出来る?」

 

「いえ、何か1品は食べ物をご注文いただきたいんですが。」

 

 

いかがわしいお店じゃないことは分かった。 シンと静まり返った薄暗いバーよりも、居酒屋のようなにぎやかな場所の方が良いと思ってたし、ぼったくりの店でもなさそうだし、ということで、私はこの店に行くことを決意し、彼女にそれを伝えた。

 

では、こちらです、と彼女は私の先に立って歩き出す。2分も歩かずに目的の店舗には到着した。 ホコリだらけのスライドドアを開けて、彼女がどうぞ、と私を店内に促した。

 

「いらっしゃい、ませ~。」

 

中から、かなり大勢の店員と思しき声が響いた。 「いらっしゃい」と「ませ~」の間に1拍入れる独特の言い方だった。店内は外から見たよりも広く、コの字型に配置された大きなカウンターの向こうには厨房が見え、そのカウンターの1席に通された。

 

「いらっしゃい、ませ~」

 

カウンターの中にいるお兄ちゃんが威勢よく、おしぼりを出しながら言った。 次に先ほど私を案内した女性が近づいてきて、メニューを差し出した。手書きのメニューには『今日のお勧め』と書かれており、そこにはヒラメの刺身や金目鯛の煮付け、などと魚料理が値段とともに表示してある。

 

飲み放題と、1品だったな、と思い返し、私は小松菜のシラス和えを注文した。同時に山崎のハイボールも持ってくるようにお願いすると、彼女は突然 姿勢を正し大きな声で叫んだ。

 

「ご注文いただき、ました~」

 

すると今度はそれに呼応するようにカウンターの中から、それは私の位置からは見えないところからも、次々に声が上がった。

 

「はいよ~。ありがとうござい、ま~す。」

「少々、お待ちください、ませ~」

 

んもう。なんか変なトコで言葉を切るなぁ。

 

店員の言葉とは裏腹に、少々どころかちっとも待たずにウィスキーが運ばれてきた。

 

お、この速さはいいんじゃない?

 

まずはハイボールで喉を湿らす。 二口も飲んだだろうか?今度はシラス和えが運ばれてきた。

 

「お待たせいたし、ました~」

 

全然、待ってないよ。むしろもっとゆっくりでもいいくらいだよ。 気を良くした私は少しピッチを上げた。

 

「おかわり。同じものを。」

 

飲み放題だからな。元を取らなきゃ。 そういう貧乏性の考えがますます酒のピッチを上げて行く。

 

「お待たせいたし、ました~」

 

またも、全然待たずに商品が運ばれてきた。

 

「速いな。」

 

その後も、飲み終わっておかわりと言ったらすぐに持ってくる。 もしかしたら、俺が何を頼むか、向こうで予測していて間髪要れずに持って来てるのかな?

 

学生の頃の英語の授業で習ったあの熟語を思い出した。

 

「as soon as ~」

 

確か意味は 「~するや否や」 だったはずだ。 あの授業を受けたときにこう思ったのは私だけではないはずだ。 「そんな言葉を使う場面なんてあるのか?」 と。

 

あったんだ。

 

ここで、今、まさに as soon as が繰り広げられてるんだ。

 

1時間ほどでベロベロになり、帰り支度を始めると、最初のあの女性が近づいてきた。 私は彼女に申し出た。

 

「3つほど聞きたいことがあるんだ。」

 

「はい、何でしょう?」

 

「一つは、今 俺以外にお客さんって何組ぐらい入ってる?」

 

「いえ、お客様だけです。」

 

「ああ、だからあんなに商品を持ってくるのが速かったの?」

 

「ああ、そうかもしれませんね。」

 

「もう一つ。 あの掛け声は全員で言うっていうきまりがあるの?独特の言い方だけど。」

 

「ああ、そうですね店の方針です。 変なところで切るでしょう?私も最初は戸惑いました。 はい、お会計2380円です。」

 

「ああ、安かったね。ありがとう。」

 

私はお金を払い店の外に出た。彼女も表の道路まで付いてくる。

 

「じゃ、ありがと。多分だけど、また来るよ。」

 

私はこの店の商品を持ってくる速さに満足していた。

 

「あ、お客様。」

 

「何?」

 

「あともう一つは何ですか?」

 

「ん?」

 

「いえ、3つ質問があるっておっしゃってたんで。あと一つ。」

 

「ああ、それか。」

 

しばし考えて、最後の質問を口にした。

 

「英語でさ、 as soon as って意味分かる?」

 

「いえ、英語苦手なんで。」

 

知らんのかい!

 

「~するや否や、って意味だよ。」

 

「ごめんなさい、日本語で聞いても意味が分かりません。」

 

無意識でやってたのね。

 

 

マタコヨウ

 

合掌



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