110発目 徒労に終わる話。


舞台IMG_1606
結局、何がやりたかったのかを
振り返ってみるためには、その日の
11時頃にまでさかのぼる必要が
あるだろう。

朝一で外出する必要があった。
空は薄いガーゼをかけたみたいに
青い空がすけている。

私は車の助手席に座り
ぼんやりと秋の空を見上げている。
ほどなく用事を終え
帰路に着く前に私はこう提案した。
『どうだ昼飯でも食って帰るか』

運転席で車を操縦していたのは
私の部下ではなく、ただの同僚だ。
だが、職位も社歴も年齢も私の方が
断然上で、誘うとしたら私の方だろう
とぼんやり思ったのが、
そもそもの始まりだった。

こうゆう場合、得てして
誘われた側は、自分と相手との
間合いを図って『よっしゃ、おごりだ』
と気づく。
当然私も今まではそうやってきた。
だから、誘おうと決めた時点で
今日の昼飯は二人分かかるぞ
と覚悟している。

『フォルクス行きますか?』
そう聞かれたが
こう返した。

『ラーメンでいいかな?』

手持ちの金額と、このあたりの
駐車場代の相場を急いで計算し
私が振る舞える最低ラインを
打ち出した。フォルクスは
駐車場代こそかからないが
高い!!!

『なんでもイイっす』
彼は快く私の提案を受け入れる。

無事、食事を終え、
駐車場へと向かう。

『何番?』私は精算機の前で
彼の返事をまつ。

『9番です』私は9番と入力する。

『精算金額は1,000円です。』

耳を疑った。ウソだろ。。。
じゃあラーメンじゃなくって
フォルクスでも良かったやん。

がっくりとうなだれて車のところへ
戻る。助手席側に回り込み
足元を見る。
あれ?
板が下がってない。
『おい、下がってないぞ
番号間違ってないか?』
『あれ?これ6ですかね?』

もう一度精算機に行き
6番と入力する。

『精算金額は400円です。』

ほらぁ、そんなもんやん。
結局1400円も払ったやん。

『山下さん、すみません』

いいっていいって。
と強がってみたものの・・・

ショック

合掌

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