639発目 私が袋を二つ貰った理由の話。


いつからだろうか?人がこんなにもマニュアルに頼りだしたのは。

 

マニュアルがあるから、応用が効かず、ただ惰性で仕事をしだす。 それが致命的なミスだとも気付かずに。

 

そんなマニュアルに沿った心のこもっていない接客をやめさせたいからこそ、あえて苦言を呈することを決意した。

 

おい、ヤマシタ。お前が偉そうにいえる立場か!

 

と、いいたい人もいるだろう。 この祭だからはっきり言ってやる。 ヤマシタはそれを言える立場だ。

 

なぜなら、ヤマシタはついさっき、このマニュアル接客の犠牲になったからだ。 惰性で仕事をするアルバイトのお姉ちゃんに、惰性のもっとも惰性たる接客を真正面から喰らったんだ。

 

午後2時。

 

町田駅から2キロほど郊外に離れた場所に、その労損はあった。

 

店内にお客は一人もおらず、にもかかわらず店員は3人もいた。 全員おそろいの青と白のストライプの制服を着ている。

 

暖かい缶コーヒーを一つ掴み、私はカウンターへ向かった。

 

「お待ちのお客様、こちらへどうぞ。」

 

これも恐らくマニュアル通りなのだろう。 「他に客がおらんやないか!待っとらんわ!」 といいたいのをぐっと堪え呼ばれたレジのところへ行く。

 

缶コーヒーを差し出し、ショートホープを二つ、と店員に話しかける。

 

店員は一旦、持ち場を離れ後ろに陳列されている棚からショートホープを二つ持ってきた。

 

「こちらでお間違えないでしょうか?」

 

「はい、間違いないです。」

 

このやりとりもマニュアルだ。惰性だ。

 

「確認のボタンを押してください。」

 

レジの液晶画面に 「 わたしは20歳以上です。 」 と表示されたアイコンを指でなぞる。

 

これもマニュアルだ。惰性だ。

 

「ポイントカードはありますか?」

 

これもマニュアルで惰性だ。 いいえ、と短く答える。

 

缶コーヒーのバーコードをピッとして合計金額を表示させた。

 

「ポイントカードはありますか?」

 

また、言った。 惰性だ。 さっきは間違ったタイミングだったんだな。

 

『さっき、ないって言ったろうが!』

 

と言いたいのをぐっと堪えた。すると店員が自分で気がついたみたいだ。 そういえば、さっきも聞いたわ、これ。って。

 

「失礼しました。合計で580円です。」

 

私は600円を支払いおつりを待った。

 

彼女はカウンターの下からビニール袋を取り出しながら私にこう尋ねた。

 

「暖かいものと袋をお分けいたしますか?」

はいココ~

 

分けるわけないや~ん!

 

タバコとコーヒーや~ん!

 

マニュアル通りにやりすぎ~。

 

これが惰性のもっとも惰性らしい仕事の仕方だ。

 

いいか!労損の上層部。

 

マニュアルを作るなら、こんなアフォがいる事も想定しておけ!そしてマニュアルの最後に 「一緒に買ったものが食べ物じゃない場合は分けなくていいんだよ、ってわざわざ書かなくても察してね。」って書いとけ!

 

 

で、結局 袋は分けてもらいました。

 

メデタシメデタシ

 

合掌

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