622発目 壮絶な電車事故の話。



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隣に座ったおばさんが私の肩をつんつんと

指でつついてきた。

知らぬ間に寝ていたようだ。

顔を上げおばさんの方を見た。

 

「ズボンがびしょぬれですよ。」

 

彼女は私の肩をつついた指で

今度は股間の辺りを指差した。

 

視線を下げるとベルトの辺りから

チャックの部分が濡れて変色している。

 

やっちまった!

 

寝小便なんて子供の時以来だ。

 

夢であってくれ!

そう願った、その瞬間、

 

ガタン

 

電車が大きく揺れた。

 

乗客がキャーッと騒ぐ。

 

私はそれを冷静に眺めた。

 

阿鼻叫喚ってこういうことか、

と冷静になっていた。

冷静な自分が不思議だった。

 

騒ぎにまぎれて立ち上がれば

寝小便がばれずに済むんじゃないか?

と思いついた時、もう一度

電車が揺れた。

叫び声がいっそう強くなる。

 

車両はゆっくりと左に傾き、

私の正面に座っていた人たちが

私の頭上に来るくらい

大きく傾いた。

 

脱線した!

 

そう思ったときは既に

電車は横転しており

金属がこすれる音と

乗客の叫び声で

耳が痛くなるほどだった。

 

とっさに両手で耳をふさぐが

ギャーという音と声は

鳴り止まない。

 

瞬間、景色が止まって見えた。

 

電車が倒れた!

 

もしかして、死ぬのかな?

 

冷静な自分が不思議だった。

 

椅子から振り落とされないように

私は左手でつかめるものを探す。

 

隣に座っているおばさんの肩を

掴んだ。

おばさんは無情にもその手を

振りほどき、やめてください!と

叫んだ。

 

私はそのままおばさんの膝に

倒れこんだ。

ちょうど、おばさんの膝枕で

耳掃除をするような格好に

なったんだと思う。

 

電車は完全に横転していた。

 

正面に座っていた人々が

私の右横に落ちてきて

血だらけになっている。

 

みるも無残な光景に

思わず目をつぶりそうになるが

思うように行かなかった。

 

両肩が激しくゆすぶられる。

 

「ちょっと、ちょっと。」

 

おなかの辺りが痛くなったので

無視しようと決めた。

 

何かが当たったのか?

腹のあたりの痛みだけでなく

口からもよだれが出てきた。

 

いや、血かもしれない。

 

ようやく今頃になって恐怖が

身体を震わせてきた。

 

いや、もしかしたら誰かが

両肩をゆさぶっているからか?

 

「ちょっと、ちょっと。」

 

もう一度、言われたので

仕方なく声のする方を

向こうと首に力を入れるが

身体が思うように動かない。

 

いったい、何が起こっているのか?

 

不安と恐怖がない混ぜになって

脇の辺りが汗でびっしょりに

なってくる。

 

ああ、そういえばズボンは

濡れたままか。

このまま死ぬと恥ずかしいな。

 

「ちょっと、ちょっと。」

 

なんだよ!

しつこいな!

 

身体が動かないんだよ!

 

ふっ!

 

全身の力が抜けたかと思ったら

金縛りのように固まった身体が

動き始めた。

 

目を開けてみる。

 

目を開ける?

瞑っていたのか?

いつの間に?

 

目を開けて周囲を見回す。

景色が斜めになっている。

景色じゃないな、顔を斜めに

しているんだな、と気付く。

 

左肩をぐいっと押される

感触がした。

 

そちらを見ると先ほどまで

つんつんしていたおばさんではなく

若いお兄ちゃんがこちらを

睨んでいる。

 

「ちっ」

 

舌打ちまでされた。

 

体勢をまっすぐにする。

口の辺りの濡れた感触を

右手の甲で確かめた。

 

よだれが垂れていた。

 

あれ?

 

横転してない。

 

ああ、夢だったのか。

 

どこから?

 

車内アナウンスが渋谷に着いたことを

知らせる。

 

私はゆっくりと左側のお兄ちゃんに

話しかけた。

 

「すみません、私寝てました?」

 

「ああ、はい。ずっとボクの肩の上で。」

 

「それは失礼しました。」

 

「別にいいっすよ。」

 

お兄ちゃんは不機嫌そうな表情は

そのままで、でも許してくれた。

 

「あの、すいません。

変なこと聞きますが、私は

どこから寝てましたか?」

 

「反町くらいじゃないっすか?」

 

横浜から乗った。

反町は横浜の次の駅じゃないか!

 

「だっせん、とか、たおれた、とか寝言を

言ってましたよ。」

 

「ああ、そうですか。いや

お恥ずかしい。」

 

「疲れてんすね?」

 

「ええ、多分。」

 

電車のドアが開いた。

 

私は新宿3丁目まで行く予定だったが

恥ずかしかったので降りた。

 

ああ、でも良かった。

夢だったのか。

 

安心したら小便がしたくなった。

 

そういえば、寝小便は?

あれも夢か?

 

私はその場で立ち止まり

股間をそっと触ってみる。

 

ちょっと濡れていた。

 

アアハズカシイ

 

合掌



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