616発目 進まない話。


ライナーノーツ

交差点で信号待ちをしていて、青に変わったのに前の車が進まないと、後ろの車がピッとクラクションを鳴らす。 みんなだって鳴らされたり鳴らしたりしたことは一度ならずあるだろ?

鳴らすときの心理ってのはさ、「早く行けよ、チクショウ」だったり「モタモタしてんじゃねぇよ」だったりと、大体の場合、文句の意味合いが強いよな?

鳴らされるときだって似たようなもんでさ、「急かすんじゃねぇよ」とか「ちょっとくらい待てねぇのかよ」だったりと、こちらもやっぱり文句の意味合いなんだよなぁ。

 

クラクションって人の気持ちを逆なでする効果があるよな。

 

ところがさ、今日に限っては違ったんだ。

 

新横浜駅の前の通りを西向きに少し行ったところに大きな歩道橋が架かった交差点があるんだ。 右折すると横浜アリーナの方に行く道で、左折すると六角橋方面に行くから割と交通量が多い道なんだ。

 

でもって、高速バスや路線バスがガチャガチャと車線変更してくるし、中央分離帯のあたりが工事中だから、ごった返してるのなんのって、そりゃあもうひどい状態なわけさ。

 

俺は本当はその先の分かれ道を片倉町方面に行きたかったから、左から2番目くらいの車線で信号待ちしたかったんだけど、あまりの混み具合に車線変更も出来ずに中央から2番目の車線で待機してたんだ。

 

九州に台風が上陸するって予報を朝のニュースでやってたからなのか、新横浜周辺も風が強かったなぁ。

 

ふとみると、左側の歩道をミニスカートの女子高生が歩いてて、そのまま歩道橋を上りだしたんだ。 強風に煽られてミニスカートがヒラヒラしてた。

 

あと数段で最上段に達するって時に、信号が青に変わって俺の前の車が動き出したんだ。

 

でもその左側の車線と一番左の車線の車の列は誰も動かなかった。

 

多分、全員が階段の上の女子高生に夢中になってたんだ。

 

だからなのか、誰一人クラクションを鳴らさなかった。

 

名残惜しかったけど俺はそのまま車を進めた。 女子高生のおかげで交差点の向こう側の左車線はガラ空きだったから、俺はすんなり車線変更し、本来曲がりたかった分かれ道を片倉町方面に行くことが出来たんだ。

 

ありがとう女子高生。

 

ありがとうミニスカート。

 

FMのスイッチを入れると道路交通情報が流れてた。

 

「県道13号線は新横浜駅前から岸根交差点まで断続的な渋滞」

 

すげえな女子高生のパワー。

 

すげえなミニスカートのパワー。

 

ジュウタイノゲンイン

 

合掌

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