うらおもて 第4話



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本db





サカナは池袋駅コンコースにいた。土曜日の池袋駅は若者でごったがえしているが、人ごみに紛れるのはサカナの得意なことの一つだった。西口公園へと続く地下通路から地上へ上がる階段の脇にあるコインロッカーに向かった。 前の日に宅配業者を装った若者が鍵を届けにサカナの会社へ来た。 若者は堺が雇ったアルバイトで、堺とサカナとのパイプ役でもあった。

 

サカナは他の書類と一緒に小さな封筒を受け取った。中には鍵が入っている。サカナは青年にうなづくと、中身の鍵だけをポケットに入れた。

 

コインロッカーから荷物を出す姿は誰に見られても疑われることはないが、サカナは念のため周囲に気を配り尾行や見張りがいないことを確認してからロッカーに近づいた。 つい先日、油断して襲われたことが教訓になっていた。 ロッカーの中には茶封筒が入っており中には清宮の悪事を暴く手紙が入っているはずだ。だがここで封を開けるわけにはいかない。 サカナは封筒を鞄に入れるときびすを返し東口に向かった。

 

東口を出て横断歩道を渡ると大手都市銀行の青い看板が見える。その右隣にある果物屋の2階にフルーツパーラーがある。サカナは迷わずその店に入ると窓際に座る男に近づいた。そっと茶封筒を男の前に置き、自分はその男の背後に座った。 店員が注文をとりに来る。サカナはコーヒーを注文し、鞄からスポーツ新聞を取り出した。 店員が下がったのを見計らい後ろの男に話しかける。

 

『亀、この手紙の差出人を探して欲しい。』

 

『手紙だけで探すのかよ?』

 

『手がかりはソレしかない。』

 

『たったそれだけで見つかるわけがねえじゃねえか。』

 

『お前にしか出来ない。』

 

『自分でやれよ。オレは疲れてるんだよ。』

 

『もう一度言うぞ。お前にしか出来ないし、俺はお前を信頼している。』

 

『オレは亀だからよ、ゆっくりやるぜ?いいんだろうな。』

 

『大丈夫だ。ゆっくりやれ。後ろからウサギが追っかけてくることも無い。』

 

『何だよ?ウサギって?あんたと同業者かい?』

 

『お前、ウサギと亀って話を知らないのか?』

 

『知らねえよ。何だよソレ?』

 

『まあいい。とにかく頼んだぞ。先に行け。』

 

亀と言われた男は席を立ち、立ち去った。 サカナは亀とのやり取りが好きだった。年齢は恐らく亀の方が随分下のはずだが亀はサカナに敬語を使ったことが無かった。 一度、その事を指摘したら亀はこう言った。

 

『サカナに敬語を使うやつを見たことあんのか?釣られてくれてありがとうございますって?刺身さん、お醤油かけてもよろしいですかって? 変態じゃねえか!』

 

サカナは運ばれてきたコーヒーを飲み干すと、店を後にした。亀は口は悪いが仕事は正確だ。

 

 

 

亀は電車の中で封筒に入っている手紙を全て読んだ。 3回読んだ。 確かに手がかりは少ないが、ゼロという訳ではなかった。 亀が目をつけたのは、この清宮という男が政権与党の大物とホテルで密会しているということを指摘している記述だった。

 

「このホテルに行ってみるか。」

 

亀は一度自宅に帰るとスーツに着替えた。それから電車で赤坂まで向かった。 地下鉄虎ノ門駅を降りると国道1号線を神谷町方面へ歩き、虎ノ門3丁目の信号を右に折れる。 あたりはすっかり真っ暗になっていた。上り坂を登り終えると大きなホテルが見えてきた。エントランスの車寄せのところには警官が3人立っていた。その脇を亀は通り抜ける。

 

エントランスに入りぐるりと周囲を見回す。 ドアボーイが丁度、交代の時間のようだった。 同じような制服を着た男と お疲れ様です、と言葉を交わしている。 スタッフオンリーと書かれたドアを開けようとしているドアボーイを亀は呼び止めた。 防犯カメラから死角になる場所を選んで、手招きする。

 

『はい、お客様。 いかがなさいましたか?』

 

『ちょっと教えて欲しいんだけどよ。中華料理のレストランで待ち合わせなんだよ。 どこにあんの?そのレストラン。』

 

『はい。桃花林でらっしゃいますか?それでしたら別館の12階にございます。』

 

『いや、そんな名前じゃなかったなぁ。』

 

そう言って亀はメモをポケットから出してドアボーイに見せた。

 

『コレだよコレ。何て読むんだ、コレ?』

 

『ああ、花梨ですね。 花梨なら確か、当ホテルではなくて、インターコンチネンタルホテルさんじゃないでしょうか?』

 

『あれ?ここインターコンチネンタルじゃないの?参ったなぁ。 どこにあんの?そのインターコンチネンタルって?』

 

ドアボーイは こちらへどうぞ、と亀を外に連れ出した。 エントランスから前面道路まで亀を連れて行き、坂の上を指差して亀の方を振り返った。

 

『あそこに見えてるのがそうです。』

 

『おお、ありがと。』

 

そういって亀はドアボーイの首筋のところに手刀をお見舞いした。 ドアボーイはウッと唸ってその場に倒れたが亀が脇を抱えてそのまま茂みのほうへ連れて行かれた。 亀は急いでドアボーイの制服を脱がせると今度は自分のスーツをドアボーイに着せた。 念のため睡眠薬をしみこませたタオルをもう一度ドアボーイの口に近づけておいた。 これで2時間は目を覚まさない。人目につかない場所に横たわらせると亀はドアボーイの格好でホテルに戻り、スタッフオンリーのドアを開けた。

 

ツヅク

 

合掌

 

 

 

 



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