514発目 人生を語る話。



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ライナーノーツ





 

車での移動の時は比較的ラジオを聴いているときの方が多い。しかし若い頃は、自分の好きなバンドのCDから抜粋したオリジナルテープを作っては、運転中に大きな声で歌っていた。

 

とはいえ、それは一人で車に乗っている時のことで、同乗者がいた場合は、さすがにそれは控えていた。 そりゃそうだろう? 上司を助手席に乗せているのにパンクロックを熱唱する部下なんて考えただけでもゾッとするじゃないか。

 

あれは確かうどん好きの上司(※71発目 うどんの話。参照)を助手席に乗せて、契約をしに遠方まで行った時だから1996年のことだ。

 

助手席に乗った上司は私の許可など得ずにカーステレオを触りだした。 

 

「ヤマシタ、AMはどうやるんかいのう?」

 

私は上司のために運転中であるにもかかわらず、ラジオのチューニングを彼の言う所に合わせた。 だがラジオから流れるのは国会中継で、それは彼の目的とは違ったみたいだった。

 

「なんでもええわい。音楽をかけい。」

 

私の車にはパンクロックのCDしか載せてなかった。さすがに今から契約に行こうという上司にNOFXのようなハードコアパンクを聴かせるわけにはいかないだろう? しかたなく私はFMにチューニングを合わせたんだ。

 

軽快なディスクジョッキーの声がスピーカーから流れてくる。 ラジオのDJがナビゲーターって言われだすのはもう少し後のことだ。 その番組には当時人気絶頂のミスターチルドレンがゲストで出演していた。

 

「それでは曲紹介を桜井さん、よろしくお願いします。」

 

ラジオからは私でも知っている彼らのヒット曲が流れてきた。つられて隣の上司に気づかれないように私も鼻歌で合わせる。

 

「君は人生の意味を知る~♪」

 

カラオケに行くと私の同僚たちの誰かが必ず歌う名曲だ。50歳になる上司でもさすがに知っているかな?いや、知らないかぁ。と思っていると助手席から上司が小言を言い出した。

 

「ヤマシタ、ワレ歳はなんぼになる?」

「今年で26です。」

「この今、歌いよった奴らと同じくらいじゃのう?」

 

確か彼らは私より1級上だったはずだ。 上司にもそう答えた。

 

「ワシより二回り以上、下じゃ。ヤマシタ、ワシがワレから人生の意味を教わることがあると思うか?」

 

一体、何を言い出したのかと驚いた。 私はかろうじて、そんなことはありません、と答える。

 

「ほうじゃろう? ほいじゃのにこ奴らはワシに向かって人生の意味を知るじゃなんじゃと、歌いよる。

笑わせようと思っとるんか?大体30にもなってない奴らに人生の何が分かるんか!」

 

「いえ、まあ、そうゆう歌ですから、大目にみてあげてください。」

 

「演歌を聴け、ヤマシタ。 演歌がええぞ。」

 

「はあ。例えば誰がおすすめですか?」

 

「坂本冬美がええわい。」

 

 

私はその日、仕事の帰りにCDショップに立ち寄り坂本冬美のCDを買おうとした。祝い酒というヒット曲が収録されたアルバムを一枚手に取った。CDを置いている棚には坂本冬美を売ろうとして様々なポップが飾っていた。その中に彼女の写真とプロフィールが書かれた紙が貼ってあった。

 

写真を見るとなかなかの美人だ。 なるほどあの上司が好みそうな女性だ。

 

ふとプロフィールを見るとこう書いてあった。

 

1967年和歌山県生まれ。

 

29歳じゃねぇか!

 

ワカカリシコロ

 

合掌



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