513発目 正しい事をやる話。



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ライナーノーツ





その日の地下鉄東西線は

さほど混雑はなかったものの

大通駅から座れるほどでも

なかった。

 

だが、たまたま目の前が

空いていたので、座ることが

出来た。

 

ふと視線を上げると、

あとから乗り込んできた

お年寄りが私の左斜め前で

つり革を掴もうとしてた。

 

左隣は肌の汚い女が

更に左側の女と

おしゃべりに夢中で

目の前のお年寄りに

気がついてない。

 

私はそっと席を立ち

お年寄りに、席を

譲った。

 

お年よりは最初遠慮していたが

私が、すぐに降りるので、

というと何度もお礼を言って

座ってくれた。

実際は終点の一つ手前まで

乗るのだが。

 

私は、席を譲らなかった

肌の汚いおしゃべり女の

正面に立つことにした。

 

 

私の右側、つまり

肌が汚いおしゃべり女の

話し相手の正面に立つおじさんが

私を見ながらニコニコ笑い

うんうん、とうなずいている。

 

『いいぞ、若者!ナイス』

 

とでも言いたげだ。

 

そのことは、私を少しだけ

嬉しくさせた。

 

肌の汚いおしゃべり女は

チラリと私の方に視線を

よこしたが、すぐにまた

左隣の女としゃべりだした。

 

年寄りに席を譲るのも

忘れてしゃべるほどの内容は

一体、どんな内容なんだ?

と気になった。

 

『いやさ、ウチの長男が

こないだ学校のテストで

50点だったのよ~。』

 

なんじゃそれ!

 

何点満点か言わないと

のろけてるのか、嘆いてるのか

分からんやないか!

 

何や!この肌の汚い女。

腹立つなぁ。

 

『あ、ほら、あの奥さん?

そうそう、ケイタ君のお母さん。

あの人ってちょっとあれよね?

常識がないってゆうか。』

 

お前やお前!常識無いのは!

他人の事、言うな!

 

左側の女は応戦一方で

相槌しか打たず、結局

大通駅から3駅目で降りた。

 

私の隣に立つおじさんが

空いた席に座ろうとした

そのときだった。

 

 

 

スっ

 

 

肌の汚いおしゃべり女が

席をずれてきたのだ。

 

 

え?

 

 

いやいやいや、

 

それ、横入りやん!

 

肌の汚いおしゃべり女は

ちらっと私の顔を見て

そのあと、うなずきおじさん

の顔を見た。

そして視線を落とすと

バッグの中からスマートホンを

取り出して操作しだした。

 

ああ、だめだこいつ。

 

私は肌が粟立つほどの

怒りに足が震えそうだった。

 

隣を伺うと、うなずきおじさんは

顔を真っ赤にしていた。

 

あきらかに怒っている。

 

 

『あの、ちょっとすみません。』

 

おじさんが強硬手段に出た。

 

 

『今のあなたの行動って

横入りですよ。自覚してます?

とてもとても非常識な行動で

大人として恥ずべき行為ですよ。』

 

 

おじさんは小さな声で

囁くように女に伝えた。

 

『もしお子さんが見たら

がっかりするでしょうね。

お年寄りに席も譲らず

挙句の果てに横入り

するようなお母さんは

ボクのお母さんじゃない!って。』

 

肌が汚いおしゃべり女は

みるみる顔を赤くして

無言で立ち上がった。

 

『どうぞ!』

 

そうしておじさんのために席を空け

隣の車両に移って行った。

 

おじさんは私のほうを見て

にっこりと笑い、どうぞと

空いた席を指差した。

 

『いえ、私は次で降りますので。

ありがとうございます。』

 

丁重に断った。

 

『あ、私も次で降りるんですよ。』

 

そう言っておじさんは

私と同じ駅で降りた。

 

降りた乗客がエスカレーターに

向かう中、私はおじさんに

話しかけた。

 

『いやあ、痛快でしたね。』

 

『あなたが席を譲ったときから

気になってたんですよ。

あの人、おばさんの顔を

チラッと見たのに無視して。

挙句に席をずれたでしょ?

だからもう我慢できなくて。』

 

『でもちょっと気まずかったですね?』

 

『そうですか?

私は正しい事をしたと

思ってますよ。』

 

非常識な人間を許せない、

とも言った。

 

ただ、私は思った。

非常識かどうかって

線引きが難しいよな、と。

 

 

 

それから私はおじさんと

連れ立って改札を抜け

地上へと上がっていった。

 

『じゃあ、私はこっちなんで。』

 

おじさんは会釈して

停めている自転車の方へ

歩いていった。

 

私はしばらくおじさんの

後姿を見ていた。

 

おじさんは自転車の鍵を

あけると、もう一度私の方を

見て会釈した。

 

私も会釈を返した。

 

 

おじさんが自転車を停めてる

場所は駐輪禁止区域だった。

 

 

 

Do the right thing!

 

正しいことをやれ!

 

あんたも非常識やん!

 

 

ヒトノフリミテワガフリナオセ

 

合掌



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