498発目 特徴の話。



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電話で話しただけの相手と

外で待ち合わせて会うことになった。

 

とある共通の知人を介して

紹介された。

 

 

『いや、ヤマシタさんさ、

忙しいトコ悪いんだけど

1回会ってやって

くんねぇかな?いやね、オレも

どんな人かは知らないんだ。』

 

知り合いの知り合いに

頼まれたそうだ。

 

『どんな人だったかあとで

教えてね。』

 

と頼まれたので

仕方なく、という気持ちで

会うことになった。

 

 

つまり『会うこと』への

モチベーションが

著しく低かった。

 

電話で話す相手は

雑音が多かった。

 

なんか分からんけど

フゴフゴいってる。

 

空気が漏れてんのかな?

 

ってくらい雑音が多い。

 

でも、まあ

相手の言葉が聞き取れない

ってほどじゃあない。

 

待ち合わせの時間は

すんなり決まった。

 

『場所なんですが・・・』

 

向こうは待ち合わせ場所を

私に決めて欲しがっている。

 

私は北12条から地下鉄で

向かいます。

あなたはどちらから

出てこられるのですか?

 

そう尋ねてから

お互いの中間地点くらいを

待ち合わせ場所にするのが

妥当だろうと考えた。

 

『東豊線の栄町です。』

 

では、大通で待ち合わせましょう。

 

 

言ってから気付いた。

 

 

地下鉄大通駅は

出入り口の数が

相当数ある。

 

大通のどの辺かまで

詳細に決めないと

ならない。

 

すると向こうから

 

『北洋銀行の向かい側の

公園の中でどうですか?』

 

と言ってきた。

 

ああ、あそこなら

分かりやすい。

 

私は快諾した。

 

 

『ところで・・』

 

と向こうは言いにくそうに

続けた。

 

『ヤマシタさんは、どのような

その・・・格好と言いますか?

見た目と言いますか・・・』

 

 

ああ、目印のことだな。

 

その日の私はいたって

普通の格好だった。

 

グレーのスーツに

薄いブルーのワイシャツ。

 

これと言って特徴がない。

 

『ああ、私が見つけますよ。』

 

そう言うと、向こうは

ほっとしたように

自分の特徴をしゃべり始めた。

 

『えっと、今日は黒のパンツスーツに

黒縁のメガネで首に薄いピンクの

ストゥールを巻いてます。』

 

あれ?

 

なんか声からは想像がつかないが

お洒落な人なのかな?

 

『髪は少し明るい茶色で

今日はアップにしてます。

あ!あとすごく大きな

赤いバッグを持ってます。』

 

 

すごく大きい赤いバッグ。

 

それが目印になりそうだ。

 

私はもう一度、確認をして

電話を切った。

 

待ち合わせの時間までは

1時間ある。

 

天気もいいし、大通公園までは

距離にしても1.6kmなので

私は徒歩で向かうことにした。

 

 

10月初旬の札幌は

時折、冷たい風が吹くものの

晴れていれば比較的

過ごしやすい。

 

この日も秋晴れと呼ぶに

相応しいほどの晴天だった。

 

地下道を通れば信号待ちを

しなくて良いのだが

せっかくなので地上を歩いた。

 

道庁のあたりの緑が

まばゆい。

 

待ち合わせの30分前に

到着してしまった。

 

 

公園には様々な人がいて

ダンスの練習をしている若者や、

テイクアウトのコーヒーを

ベンチで飲んでいるOLや、

テレビ塔の写真を撮る

観光客などで賑わっていた。

 

私は地下鉄への出入り口が

見渡せるベンチに座った。

 

おそらく、あの階段から

上がってくるだろうと

予測した。

 

赤くて大きいバッグ。

 

出てくる人たちの持ち物に

私は注目した。

 

腕時計を見ると約束の時間の

10分前だった。

 

ふと、地下鉄出入り口を

見ると一人の女性が

ドアを押し開けて外に

出ようとしているところだった。

 

 

随分とふくよかな体型で

ドアを全部ば~んと開けないと

外に出られないようだ。

 

頭には迷彩柄のニット帽をかぶり

でかい顔から更にはみ出るくらいの

でかいフレームの黒いメガネだ。

 

丸い団子のような鼻の横には

でっかいホクロがついている。

 

しかも出っ歯だ。

 

パンチのあるルックスだなぁ、

と思わず見入ってしまった。

 

ん?

 

あれ?

 

ピンクのストゥールしてる?

 

あ!

 

赤いバッグだ。

 

いや、でも大きいバッグって

言ってたよなぁ。

あの人のはそんなに大きく

ないよなぁ。

 

いや、まてよ。

 

カラダが大きいから

小さく見えるだけか?

 

 

するとその女性が近づいてきた。

 

『あのう、もしかしてヤマシタさんですか?』

 

 

ああ。この人だったんだ。

ああ。フゴフゴ言ってるわ。

 

 

なんで、こんなにたくさん

特徴あるのに地味なほうを

目印にしたんだろう?

 

大体さぁ、

 

『髪は明るめの茶色で

アップにしてます。』

 

って?

 

そんな迷彩の帽子かぶってたら

分からんやん。

 

ふと彼女の後ろに視線をやると

テレビ塔のデジタル時計が

14:00を表示していた。

 

近づいてきた彼女がその赤い

大きくないバッグから

名刺入れを取り出そうとしていたので

私も内ポケットから名刺入れを

出した。

 

そして名刺交換をした。

 

名刺を差し出した彼女の

右手には黒いボールペンで

 

『薬のむ2じ』

 

と書いていた。

 

 

私は挨拶を済ませた後、

 

『薬は飲まなくていいんですか?』

 

と尋ねてみた。

 

彼女は恥ずかしそうに

左手の、そのメモ書きを

している手の親指のつけねあたりを

こすりながら、力なく笑った。

 

『あ、今日はいいんです。』

 

『どこか具合がよろしくないとか?』

 

『いえ、あ、ちょっと恥ずかしいんですが。』

 

少し逡巡して

 

『薬って言ってもダイエットサプリ

なんです。 ほら、私 太ってるから。』

 

太ってることをちっとも悲観してない

言い方で彼女は説明してくれた。

 

その瞬間だけ、なんだか彼女の周りに

ふわっとした柔らかな何かが

彼女を包んだような感じがした。

 

公園で立ち話もなんだから、と

我々はテレビ塔の下にある

喫茶店へ移動した。

 

彼女は席に着くと、運ばれてきた

お冷で先ほどのサプリを飲んだ。

 

飲むんかい!とは言わなかった。

 

しばらくすると、注文したカフェラテ

が届いた。

 

 

『苦いコーヒーが苦手なんです。』

 

 

そういって彼女は砂糖を

スプーンで6杯入れた。

 

 

私は後日、彼女を紹介してくれた人に

彼女のことをこう説明した。

 

『大きなほくろと少し出た前歯が

愛嬌があって迷彩柄の帽子を

かぶってました。そして

左手をメモ替わりにしてました。』

 

そしてこう付け加えた。

 

 

『あと、やせる気はなさそうでした。』

 

トウブントリスギ

 

合掌

 



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