466発目 タイと日本の意外な繋がりの話。


ライナーノーツ

微笑みの国、タイのバンコクは日本人旅行者に優しい街の一つだろう。 バンコクとは通称で正式名称はクルンテープムハナコーンなんちゃらなんちゃら、と長ったらしい名前だ。

クルンテープマハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラアユッタヤー・マハーディロッカポップ・ノッパラッタラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーンアワターンサティット・サッカタットティヤウィサヌカムプラシット

 

どうしてこの長ったらしい名前から 『バンコク』 と呼ばれるようになったのか理解に苦しむ。地元の人は略して 『クルンテープ』 と呼んでいるらしい。 ヘタをすると現地の人でも正確に言える人がいないのではないだろうか?おそらく覚えられたら自慢できる。

 

日本とタイとは友好関係にある。 そして意外なところでタイと日本は文化としての交流があるのだ。

 

古典落語の 『寿限無』 をご存知だろうか?

 

この話は古典落語の中でも前座噺と呼ばれるものだ。 子供が生まれた父親がお寺の和尚さんのところに行き長生きできるように縁起の良い名前を授けてもらおうとするのだが、一つに絞りきれずに結局、全てを盛り込んだ名前をつけてしまい、結果、長ったらしい名前になる。 あるとき子供が外で喧嘩をし頭にコブを作って帰ってくる。 心配した母親が名前を呼んでいる間にコブが引っ込んでしまったというサゲだ。

 

寿限無 寿限無
五劫の擦り切れず
海砂利水魚の
水行末、雲来末、風来末
食う寝るところに住むところ
藪ら柑子の藪柑子(やぶらこうじのぶらこうじ)
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助

 

が正式名だ。

 

バンコクの正式名称となんとなく似ているだろう?

 

だが、この古典落語、今まで誰にも突っ込まれずにココまで来たが私はコレに関して正式に突っ込みたいと思っている。

この名前をつけた父親ではなく、提案した和尚さんに、だ。

 

この長い名前、よく読んで行くと人間につける名前らしい名前は最後の 『長介』 だけではないか? 仮に全てをつけなかったとしても どこの世界に 『パイポパイポ』 とかつける親がおるもんか!? 長介以外を選ばれたとしても絶対、いじめられる、という名前だ。

 

ヤマシタ食う寝るところに住むところ。

 

こんな名前の友達がいたら何て呼ぶ? 『家』か?

 

そんなことを思いながらバンコクの街を歩いていた。 バンコク最大級と言われるサイアムパラダイスでお土産を買おうとした。 見るからに胡散臭いマーケットで日本人を見るや、タイ人が群がってきて色々なものを売りつける。 明らかに偽物のブランド物のバッグが所狭しと並んでいる。

 

仮にそれが本物であったとしても私は興味がない。 だから群がってくるタイ人をことごとく無視していた。 しばらく歩いてると1人のタイ人が日本語で話しかけてきた。

 

『ニホンカラデスカ?』

『はい、そうです。 日本語できますか?』

『ワタシ、3ネンカンリュウガクシテマシタ』

 

おお! 救世主じゃないか! では早速。

 

『日本にお土産を買って帰りたいんだ。何がお勧めかい?』

 

彼は最初、ナイキのエアジョーダンを持ってきた。 日本円にして2,000円だという。 明らかに偽物だ。 しかもナイキのマークがヴィトンの柄だった。

 

『偽物は欲しくないんだ。』 という私に彼は店の奥に引っ込み1枚のCDを持ってきた。

 

『ワタシガニホンデイチバンスキダッタCDデス』

 

手にとって見ると桂春團治の寿限無だった。

 

ココデツナガルノカ

 

合掌

 

 

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