455発目 数学的考え方の話。



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ライナーノーツ







 

終電を逃したヤマシタはススキノの

ど真ん中で立ち尽くしていた。

財布の中には千円札が2枚。

6月だというのに寒い風が

吹き付ける。

 

傍らを行き過ぎる酔っ払いが

鼻歌を歌っていた。

 

『ハイリハイリフレハイリホ~』

 

何の歌やったっけ?

 

自分の置かれている状態よりも

その歌の方が気になった。

 

自分でも心の中で

歌ってみる。

 

『ハレハレフレホッホ~』

 

あ、思い出しそうだ。

 

『わんぱくでもいい

たくましく育ってほしい。』

 

あ~!CMソングや!

 

その日のうちに思い出せたのが

嬉しかったため、今の状況を

少しだけ改善できた。

 

だが、依然として問題は

解決に至ってない。

 

さあ。

 

地下鉄は終わってるぞ。

どうやって帰る?

 

自宅までの距離を

googleちゃんに聞いてみる。

 

『およそ8kmです。』

 

なるほど。

歩けない距離ではない。

ただし条件がある。

 

シラフなら、だ。

 

今のヤマシタはデロンデロンに

酔っ払っている。

立っているのもやっとだ。

 

『ハイリハイリフレ』

 

先ほどのスキャットが耳に

こびりついて離れない。

 

そのとき、稲妻のような

ひらめきが頭を駆け巡った。

 

『背理法だ!』

 

数学で習っただろ?

 

私は数学的根拠に基づき

自宅への帰宅方法を

検討することにした。

背理法を使ってだ。

 

※背理法とは?

命題Pを証明したいとき

Pが偽であることを仮定し

そこに矛盾が導けることにより

Pを結論付ける。

英語で言うと

proof by contradiction

 

 

仮説1.

タクシーに乗ってとりあえず

2000円で行けるか聞いてみる。

通常、3000円くらいかかるので

恐らく断られる。

仮説1は成り立たない。

 

仮説2.

明日は休みだから、どこかで

時間をつぶし、始発で帰る。

明日は朝から息子の運動会。

だから朝帰りは許されない。

仮説2は成り立たない。

 

仮説3.

自宅目指してひたすら歩く。

前述のとおり立っているのも

やっとだから本格的に無理。

仮説3は成り立たない。

 

仮説4

仕事終わりのホステスに

声をかけて送ってもらう。

見ず知らずの酔っ払いに

声をかけられた女性は

こちらが用件を伝える前に

逃げ出すだろう。

仮説4は成り立たない。

 

 

 

もうお気づきの方もいらっしゃるだろう。

 

この考え方はちっとも

背理法ではない。

 

だが、酔っ払ったヤマシタは

この考え方こそが理想的な

数学的背理法の考え方で

きっと正解を導き出せると

信じていたのだ。

 

仮説7まで到達したとき

とうとうヤマシタは正解を

導き出した。

 

原点回帰だ。

 

仮説8

タクシーで自宅に向かう。

メーターに気をつける。

2000円になるちょっと前に

降りる。そこから自宅まで

歩く。

自宅までの8kmのうち

3分の2はタクシーで行ける。

とすると、歩くべき距離は

約2.7kmで済む。

仮説8は成立する。

 

よし。

 

ヤマシタはタクシーに乗り込む。

 

地下鉄発寒南駅に向かってくれ。

運転手にそう告げる。

道順を聞かれた。そうだ、地下鉄通りを

まっすぐだ。

 

後ろのシートのやや真ん中よりに

座り、背もたれになんかかる。

 

おっと、なんかかるは方言だな。

寄りかかるという意味だ。

 

記憶があったのは910円のところまでだった。

 

運転手の声に目を覚まし

周囲を見ると地下鉄発寒南駅の

横だった。

メーターを見ると2600円の表示だ。

 

絶望と吐き気が同時に襲ってきた。

 

時計を見ると夜中の2時だ。

 

仕方ない。

 

自宅までの道順を運転手に

説明し自宅前で停めてもらう。

 

ここからは誠意だ。

 

『運転手さん。ごめんなさい。

2,000円しか持ってません。』

 

『え~。本当ですか?困ったなぁ。

2960円ですよ。ほぼ千円足りないじゃ

ないですか。』

 

『運転手さん。あなたのお怒りは

ごもっともです。だがしかし、

無い袖は振れないのです。』

 

『家の中に千円くらいないですか?』

 

は!

 

そうか!

 

奥様の財布から1000円借りれば

いいのか!

 

さっすが、運ちゃん!

あったまいい~。

 

幸い奥様は寝ているだろう。

こっそり入って、こっそり財布の中から

千円札を抜き取り、運賃を支払う。

 

無事に支払いを済ませ

私は床に就く。

 

翌朝、奥様が騒いでいる。

千円少ない!と。

 

私は事情を話し、月曜日に返すから

と許しを請う。

 

お母さんに怒られるお父さんを

心配そうに見つめる息子に

私は何か父親らしい一言を

言うべきだと思い、こう言った。

 

『わんぱくでもいい

たくましく育ってほしい。』

 

キョウハハヤクカエロウ

 

合掌



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