450発目 無駄な努力の話。


ライナーノーツ




幼少の頃から髪の毛が薄かった。 細くて柔らかく、頭皮に汗をかくと地肌が見える。 若い頃は気にならなかったが、流石にこの歳になると『俺はハゲるのか?』と気になりだした。

 

友人や知り合いで私より若いのに薄毛の人たちを散々馬鹿にしてきた罰なのか? 本当にハゲると、今まで馬鹿にしてきた奴等からの怒涛の仕返しが待っている。 そうなると居ても立っても居られなくなる。

 

意を決してドラッグストアに駆け込む。 様々な種類の増毛や育毛を促す薬が売られているが、いったいどれが効能が優れているのか分からない。 また、それを持ってレジに行く勇気もない。

 

レジの人が商品を見た後にちらりと頭のほうに視線をやるのではないか? ふふふ、ハゲも大変ね、と思われるんじゃないか? 余計な心配ばかりが頭をよぎる。

 

仕方ない。 食事療法だ。 私は妻に頼み込み海藻類中心のメニューにしてもらった。

 

ひじきやコンブ、海苔、思いつく限りの海藻類を毎日のように食べ続けた。 極力刺激のある食べ物を避け、野菜中心にし、風呂上りには頭皮マッサージもした。

 

ひじきに関してはそれこそ、大量に摂取した。 おそらく東シナ海で取れるひじきの1割は私が摂取したのではないか?

 

あれから一年。 努力の甲斐があって、私の股間には今、南米大陸のジャングルと見間違うほどの大量の、それも黒々とした毛が生えている。

 

頭には生えてこない。

 

ソッチジャナイ

 

合掌

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