438発目 勢いつく話。


ライナーノーツ



男が3~4人くらいで居酒屋に集まると、それが会社の同僚なら仕事の愚痴や上司の悪口だったりとテーブルでのおしゃべりのテーマは自然と決まる。 だが私の場合は連れて行くのは部下ばかりなので当然『上司の悪口』は禁止にしている。 面と向かって悪口言われた上におごらなきゃならない状況には耐えられないからな。 ま、とはいえ面と向かって悪口を言ってくる勇気ある少年はいないのが事実だが。

じゃあ、何を話してるの?と。 気になる人も多少はおいでだろう。

だって逆の立場だと気になるもん。 最近は女子会って言うの? 居酒屋でそこそこの年齢の女性が集まってキャッキャキャッキャやってるのを見て 『一体、何をしゃべってるんだろう? そんなに面白い話なら教えて欲しい』って思ったことがない?私はある。

だからと言って40も半ばに差し掛かったおっさんが近寄っていって

『なんだか楽しそうですね。ブログのネタにしたいので、今みなさんが大受けしてたエピソードを教えてくれませんか?』

 

なんて言ったりしようもんなら 『なんやこのおっさん。気色悪い』 って思われてしまう。

 

何がつらいって、『面と向かって悪口を言われなくても心の中でけなしてる』感が表情に出た時ほどつらい事はない。 つまりヤマシタはメンタルが弱い。

 

ではどうする。 これはあれだ。心理戦だ。 こちらの手の内を明かせばきっと彼女たちは進んで私に自分たちのエピソードを話してくれるだろう。 心理学で言うところの『返報性の原理』だ。 人は何かをしてもらったらお返しをしたくなるという心理が働くのだ。

 

で、前置きが長くなったが男が集まって何を話してるかだが、我々はそれぞれが自然と持ち寄ったエピソードトークをしている。 そこには少し事実を脚色したりしてなるべくみんなを笑わせようとする涙ぐましい努力もあるのだが、往々にしてそこで語られるエピソードは 『ふうん』程度のものが多い。

 

『ちょっと、おなかが痛くてトイレに入ったんですよ。でもそこは狭いトイレで小便器が2つと大の方の個室が1つだけなんです。 で、私がそこに入ったときには小便器に酔った人が二人、へばりついていたんです。 私は さも 小便器が二つとも埋まってるんで大の方の個室でおしっこするんですよ、みたいな顔で個室に入ったんです。』

『それ、どんな顔なん?』

『こんなんです。 あ、それはいいんですけど、やっぱ恥ずかしいじゃないですか?音を聞かれるのって?恥ずかしくありません?』

『ああ、まあ確かに。』

『で、ちょっと限界が近づいてたけど便座に座って二人が出て行くのを待ってたんですよ。そしたら、二人が出て行った後、どうやら誰かもう1人入ってきたみたいなんですよ。 あ~もう!我慢できない!って思ってたらその人が個室が閉まってるのを気付いてくれて、手を乾かすあの機械をブイーンってやってくれたんですよ。 で、その隙にブバっとやれたんですよ。』

ま、エピソードとしてはまあまあかな。周囲も笑っている。 気にせずやっちゃえよ!とか茶化している。語り手はそれに気を良くしたのかそこから勢いでこう付け足した。

『もうね、そのあまりのうれしさにパンツも上げずに出て行ってオッサンをハグしましたよ。』

 

あ~。 勢いでそこまで言っちゃうからウソになるんだよなぁ。

最後のが余計だよな。せっかく受けてたのに最後でスベったな。

 

今日の教訓

受けたからと言って勢いつけて何かを付け足すとスベる。

 

で。女子会の皆様。あなたがたは何を語ってらっしゃるの?

 

コレデオシエテクレルダロウ

 

合掌

 

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