406発目 童心の話。


キリン

大人になると子供の頃の

美しい心をどこかへ

置き忘れてたかのように

思い出すことすら難しい。

 

あの頃、確かに僕らは

純粋だった。

 

こんなクイズがある。

 

『サッポロ、キリンで

想像するものは?』

 

大人に聞くと大半の人が

 

『ビール』

 

と答えるらしい。

 

だが、札幌の子供に聞くと

 

『円山動物園』

 

と答えるそうだ。

 

それもそのはず。

 

彼らはビールを知らないし

幼稚園の遠足といえば

札幌市内では、ほぼ100%が

円山動物園に行く。

 

サッポロ、キリンで

想像するものが動物園

とはなんとも微笑ましい。

 

この話をうろ覚えのまま

自宅に帰り、僕の7歳の息子に

聞いてみた。

 

『なあ、クイズを出すぞ。』

 

息子は目を輝かせて

絶対当ててやると

鼻息も荒い。

 

『サッポロ、キリン、と聞いて

思いつくものは?』

 

『え~っとねぇ。

北海道のキリン!!!』

 

おっと。

 

なんじゃそれ?

 

『え?動物園じゃなくて?』

 

『うん。北海道のキリン。

お父さん、北海道は広いけ

キリンがおるかもよ。』

 

『見たことあるん?』

 

『ないよ~!

あるわけないやん。』

 

だめだ。

 

話にならない。

 

よし、今度は4歳の娘だ。

 

『ねえ、サッポロ、キリン

って聞いて何を思いつく?』

 

『な~んも思いつかん。』

 

『いや、もうちょっと考えてん』

 

『首が長い!』

 

う~ん。サッポロは?

無視?

 

問題の出し方が悪かったのか?

 

それとも育て方が悪かったのか?

 

ともあれ、わが子たちが

一般的じゃないことだけは

分かったぞ。

 

すると息子が今度は

自分が問題を出すから

お父さん答えてみてと

せがんできた。

 

『キリンの角は何本でしょう?』

 

『そりゃあ、お前、2本やろ?』

 

『ブッブ~。

全部で5本でした。』

 

と、タブレットでキリンの画像を

出し、僕に見せる。

 

こことここと、と

角のある場所を

指で示しながら

耳の後ろにも2本あるんだよ

と教えてくれた。

 

『メスを取り合うときに

戦うためにあるんやけどね

耳の後ろの角は

後ろ向いとるし、短いし

何の役にも立たんやんねぇ。』

 

きゃっきゃっきゃ。

 

ああ、息子よ。

 

お父さんは君の童心を

確かめたかっただけなのに。

 

サキガオモイヤラレル

 

合掌

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