405発目 有り得る話。


 

千歳空港フードコート

新千歳空港の3Fにある

フードコートにいた。

 

飛行機の時間まで

まだもう少しある。

 

福岡空港と違って

新千歳空港は広い。

施設も充実している。

 

難点は札幌市内から

遠いことだ。

 

重い荷物を持って

1時間以上かけて

電車で座れなかった時から

私の神経はピリピリしていた。

 

フレッシュなのはレタスだろ!

レタスは脇役やろ!

 

と、自分が食べている

ハンバーガーに文句を言っている。

 

腹が立っている。

 

フレッシュなバーガーのくせに

味付けはマヨネーズだけ?

非常にまずい。なんじゃこれ?

 

『ねぇねぇ、ここのチーズバーガー

超マズくな~い?』

 

隣に座る女が甘ったるい声で

正面に座るもう一人の女

に話しかけた。

白いブスとピンクのブスだ。

 

『ホント。もっさもさ。』

とピンクのブスが答えた。

 

確かにハンバーグはもっさもさだし

それを挟むパン、最近では

バンズって言うのか?

それもぱっさぱさだ。

もっさもさを、ぱっさぱさで

挟んだんだな。

そこにようやく店名でもある

フレッシュさを出そうとレタスを

登場させマヨネーズをかけた。

 

あほか!

 

ア・ホ・か!

 

白とピンク!

お前らの言ってることは

おじさんにも理解できるぞ。

あ、そうだ。もしあれなら

3人で文句を言いに行こうぜ。

 

今からそいつを殴りに行こうか~

 

って歌ってたやつも世間から消えたし

ここは、いっちょ俺たちがさ・・・

 

『でしょ?もっさもさ感が

半端ないっしょ?』

 

『マジ、有り得ないんですけど~』

 

ピキ。

 

 

有り得ない?

 

いやいや、彼女たちは同志だ。

サトル、落ち着け。

気を沈めろ。

 

『あ、そういえばさ、あの時の

人とどうなった?』

 

『あ~、あいつ?

あいつさ、必死で飯行こう

飯行こうってうるさくてぇ、

で、行ったんだぁ。

そしたらさ待ち合わせに

15分も遅刻してきてぇ。』

 

『ウッソ、マジ!

有り得ないんですけど~』

 

はい、また言った。

 

有り得ない?

 

遅刻15分?

 

有り得るやろ!

あ・り・え・る  の!

遅刻15分は

ウルトラアリエールなの!

漂白剤なしで落ちるの!

 

もうね、有り得な~い が

大っ嫌いなの、おじさんは。

 

言わんでくれるかなぁ?

俺の近くで。

 

有り得ることを有り得ないとか

言わんでくれるかな?

 

いいか、そもそも有り得ないって

言葉はだな、辞書によると

 

と、私はスマートホンを取り出し

デジタル辞書のサイトを

呼び出した。

 

検索窓に

『有り得ない』と

打ち込む。

 

結果が出た。

 

ありえない【有り得ない】
1・あるはずがない。
  そうなる可能性がない。
2・信じられない

 

ほらぁ、見てみろ。

有り得ないって言葉の

意味はなぁ、そうなる可能性が

ないってことだから

遅刻なんて可能性としては

充分考えられるだろうが!

 

だから・・・・

 

ん?

 

 

信じられない?

 

あれ?

そうゆう意味もあんの?

 

あ、じゃあ、合ってる?

この子たち合ってる?

 

え?そうなの?

 

あちゃぁ。

 

ピンクのブスと私の目が合った。

 

やばいな。

俺の心の声が

出てたかな?

 

だが意に反して

ピンクのブスはこう言った。

 

『このバーガー、

超マズくないっすか?』

 

私はほっと胸をなでおろし

答えた。

 

 

『そうだね。

有り得ないね。』

 

コンドカラ ツカオウ

 

合掌

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