410発目 仕方が無かった話。


ods

同僚と酒を飲んでいた。

 

仕事帰りだったが、

翌日は会社が休みのため

心置きなく飲んだ。

 

1件目は居酒屋で

2件目から中洲に移動し

クラブを2件はしごした。

 

その後、ラーメンを食べ

行きつけのスナックへ

移動した。

 

最初は5人いた同僚も

スナックに行く頃には

2人に減っていたが

お構いなしだ。

 

カラオケをしながら

ウィスキーを飲む。

 

もういったい、どれくらい

酒を飲んだのか分からない。

 

ようやく重い腰を上げ

帰宅しようかと思ったのは

夜中の、というより

明け方の4時だった。

 

タクシーに乗り自宅へ

到着したのが4時半。

 

フラフラしながら鞄の中から

玄関の鍵を取り出そうとした。

 

鞄がない。

 

あれま。

 

とりあえずスーツの

ポケットを片っ端から

探ってみるが鍵はない。

 

タクシーの運転手に電話してみる。

 

『ああ、ヤマシタですが。

車内に鞄を忘れてないですか?』

 

『いや、見当たりませんよ。』

 

いったい、どこに忘れたのだろう。

 

電話を終えるとメールが届いた。

 

スナックのママからだった。

 

『ヤマシタさん、鞄忘れてるよ。』

 

う~ん。

 

今から取りに戻ってたら

何時になるのか?

 

それよりも誰かにあけてもらおう。

 

私は意を決してインタホンを

鳴らす。

 

反応はない。

 

朝の4時半というと

ぐっすり眠ってる時間だ。

 

仕方ない。

 

誰かが起きるまで

待っていよう。

 

 

私は家の脇を通り、

庭へ出た。

 

 

ぐきゅるるるる。

 

 

猛烈な便意が私を

襲ってきた。

 

ああ、こりゃいかん。

 

出る。

 

もう一度インタホンを鳴らす。

 

しかし誰も起きてこない。

 

 

やばいやばい。

 

こんな住宅街のど真ん中で

ODSは避けたいところだ。

 

しかし、私の自宅から

最寄のコンビニまでは

4kmはある。

 

最寄り駅までも徒歩で

10分だ。

 

すばやく計算する。

 

だめだ、10分も我慢できない。

 

 

ふと、庭先を見ると

昼間に子供が遊んだのか

ダンボールが落ちていた。

 

私は仕方なく、自宅の敷地内で

最も人目につきにくい場所を

選びダンボールの上に

ODSをした。

 

ふらふらになりながら

今度はそのダンボールを持ち

自宅前の道路に出る。

 

道路の向こう側にある

側溝に近づき、その穴から

少しづつモノを捨てた。

 

かなりの時間をかけ

ちょっとずつ捨てた。

 

捨てたというより

隠した。

 

全てを隠し終えた頃には

東の空が白みだし

家の中には人の気配が

しだした。

 

もう一度インタホンを鳴らす。

 

息子と奥様が出てきた。

 

『もう!朝帰りよ!』

 

と叱られた。

 

とりあえず、トイレと

奥様の説教をさえぎり

私はトイレに駆け込む。

 

先ほどODSしたままに

なっていた尻を拭く。

 

 

『いや~参ったよ。

2時間くらい待ったぞ。』

 

『鍵は?』

 

『鞄ごとスナックに忘れてきた。』

 

『もう!バカやないん!』

 

散々説教はされたが

そのまま一睡もせずに

私は息子と朝食を摂った。

 

 

『お父さん、今日は何して遊ぶ?』

 

と問われ、私は息子に

こう答えた。

 

『ちょっと、お父さんは

二日酔いやけ、今日は

表で自転車乗って遊ぼう。

車の運転はきついけん、

お出かけはなしね。』

 

息子はそれでも喜んでくれた。

 

お昼ごはんが出来上がるまでの

あいだ、私は眠い目をこすり

息子の自転車遊びに

つきあった。

 

しばらくすると隣のご主人が

子供と一緒に出てきた。

 

隣の息子さんはウチの息子と

一緒に遊んでくれた。

 

私は隣のご主人と

歩道のところに腰掛けて

子供達を見守りながら

雑談をしていた。

 

ふと、そのご主人が

 

『あれ?何かにおいません?』

 

と言ってきた。

 

ああ、それは多分

私が今朝方捨てた

うんこですよ。

 

ちょうどあなたの足元に

隠してます。

 

とは、言えない。

 

『はは、ホント。

うんこみたいなにおいですね』

 

と、ごまかした。

 

午後になり、私は昼寝を

する事にした。

 

今度は奥様が娘を連れて

表で遊ぶそうだ。

その間、私は昼寝をしよう。

 

一睡もしてなかったので

たっぷり寝た。

 

夕方4時ごろ起きだして

シャワーを浴びた。

 

奥様が帰ってきて

娘の手を洗っている。

 

『ああ、起きたと?』

 

『おう、もうばっちりや。』

 

『なんかね、表がくさいんよ。』

 

ん?まだにおうのか。

 

『お隣さんのご主人も

言ってたけど、野良猫が

最近、うろちょろしてるから

このへんで糞をしたんかねぇ?

困るよねぇ。』

 

ああ、それは間違いなく

野良猫じゃなくて

私の糞ですよ。

 

とは、言えない。

 

数日後、廻ってきた回覧板には

町内会からの注意文が

添付してあった。

 

『最近、野良猫が糞を

して苦情が増えてます。

くれぐれもエサを与えたり

しないでください。』

 

と。

 

中洲の皆さん。

 

ヤマシタにはエサを

与えないでください。

 

フンヲスルカラ

 

合掌

 

ODSについてはこちら↓

382発目 ODSの話。

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