392発目 準備万端の話。


ライナーノーツ

私の足がクサイのは、

このブログを最初の頃から

読んでくれている読者なら

周知の事実だろう。

 

そう。

 

私の足はクサイ。

 

このような自分の恥部を

公衆にさらけ出すことが

どれだけ勇気のある行動かは

理解してほしい。

 

これを読んで

 

『ああ、ヤマシタは足が

クサイんだ~。』

 

で、終わらず、

 

『それを告白するから

好感度UPだよな~。』

 

までは行きついてほしい。

 

好感度UP。

 

なんて素晴らしい響きだ。

 

我々のような一般庶民は

普通に生活していたら

好感度なんて気にしなくて

良いはずだが、

毎年この時期になると

好感度を上げようと

無意識にやってしまう。

 

そう。

 

我々モテない男にはつらい

あの時期だ。

 

バレンタインデー。

 

ああ、憎い。

 

バレンタインが憎い。

 

私はバレンタインデーが憎いあまり

ある時期のロッテも嫌いだった。

 

そう、ボビーバレンタインが

監督をしているころだ。

 

まあ、有藤の頃も嫌いだったが。

 

いや、話が逸れた。

 

元に戻すぞ。

 

バレンタインだ。

 

私はこの時期だけはと

好感度を上げようとしていた。

 

思い起こせばあれは

高校1年生の頃だ。

 

こないだ入学したと思ったら

もう3学期で、1年生も

残すところあと1か月余りかあ。

などと悠長なことは言ってられなかった。

 

私が通っていた小学校や

中学校は下駄箱がオープンタイプで

私の足のにおいはさほど

問題にならなかった。

 

が、

 

私の通っていた高校は

ご丁寧に蓋が付いていた。

 

それがどうした?だと!

 

においがこもるんだよ!

 

出席番号順にあてがわれた

私のスペースはちょうど

私の胸の位置だった。

 

これは私より小柄な女性だと

もろに鼻の位置にあたる。

 

普段は気にもせず開閉してたが

やはり当日の事を考えると

一応、確認しておかねば

と気になって来た。

 

だから、放課後、

いつものように下駄箱の蓋を

パカンとあけて深呼吸してみたんだ。

 

正直言うと、倒れそうになった。

 

まだ、そのころはさほど

問題になってなかったが

多分、地球温暖化の原因の一つが

これだな、っていうくらいのにおいだった。

 

 

 

殺せる。

 

 

 

多分、人ひとりくらいなら

殺せるにおいだ。

 

私はその日から、毎日

上靴を自宅へ持って帰り

においのもとを断った。

 

更に自宅から持参したキムコを

下駄箱に入れ、消臭に精を出した。

 

準備は万端だ。

 

前日は友人に借りた

タクティクスを軽くふりかけ

嫌味でないにおいの演出まで

やってのけた。

 

 

完璧だ。

 

 

もはや、私の足がクサイとは

誰も思わないだろう。

 

さあ、西高の女子たちよ。

 

こぞって私の下駄箱に

群がるが良い!!

 

 

私は両手を広げ

まだ見ぬ明日の下駄箱を

想像する。

 

そして迎えたバレンタイン当日。

 

終業のホームルームを終え、

友人たちと軽く雑談を交わす。

 

女子どもが私の下駄箱へ行く

時間を稼いでやらねば。

 

そしてゆっくりと立ち上がり

階段をいつもよりゆっくりと

降りていく。

 

下駄箱の前に立ち。

 

軽く深呼吸する。

 

慌てるなサトル。

 

普段の表情で開けろ!

 

 

ガッ。

 

私は落ち着いて下駄箱の

蓋を開ける。

 

そこにはリボンにくるまれた

サニティが置いてあった。

 

サニティ?

 

業務用の消臭剤じゃねえか!

 

ダレノイタヅラダ!

 

合掌

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