384発目 路上のギター弾きの話。


ライナーノーツ

中洲大通のカドのタバコ屋の

向かい側でいつも座り込んで

ギターを弾いている兄ちゃんがいた。

 

一晩中、酔っ払いに絡まれながら

歌を歌っている。

 

私は先輩社員と二人で

ラーメン屋へ向かうところだった。

 

先輩は兄ちゃんをみつけ

近寄っていき、話しかけている。

 

『兄ちゃん、永ちゃん歌える?』

『ああ、そっすね。2~3曲なら。』

『じゃあ、サンバディナイトやって。』

 

兄ちゃんのギターに合わせて

酔っ払った先輩も歌いだした。

 

『サンバディズナイッ

スイーレディィィほにょにょにょ。』

 

あれ?歌詞をごまかしたな。

 

『トパーズ~。ほにょにょにょ。』

 

あれ?またごまかした。

 

あちらこちらをごまかしたまま

1曲歌いきった。

その根性はすごい。

 

『よ~し、じゃ次は

何にしようか?サザンは?』

 

『あ、はい。』

 

『あれは?いとしのエリー?』

 

『ああ、イケます。』

 

 

『ほにょにょにょこと~もあ~る~』

 

あ~!今度は最初から

ごまかした!

 

『エリ~マイラ~ ふふ~ん』

 

うわ!そこは分かるやろ!

 

兄ちゃんもおかしくなったのだろう

笑いをこらえながら弾いている。

 

それでも1曲全部歌いきった。

 

兄ちゃんも気を良くし

先輩と雑談を始めた。

 

『お名前は何て言うんですか?』

 

『ああ。』

 

先輩は名刺を出しながら

 

『ふぇふぇたです。』

 

そこもかい!

 

センパイゲンキカナァ

 

合掌

 

ご一緒にこちらもお読みください。

120発目 クレーム処理の話。

 

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