329発目 血の話。



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ライナーノーツ





『お前、血液型なに?』

 

平日の夜、先輩と居酒屋にいた。

平日であるにもかかわらず

店内は込み合っており、

騒々しかった。

 

だから、ボクは一瞬何を言われたか

聞き取れずもう一度聞き返した。

 

『え?』

 

『だから、血液型だよ。』

 

『ああ、AとかBとかのですか?』

 

『そうだよ、それ以外に何があるんだよ。』

 

『なんだと思います?』

 

言った後で後悔した。

きっと、ホステスかよ!と

詰られると思った。

 

でも先輩は意外にもこう言った。

 

『お前はBだな。きっと。

典型的なBだよ。』

 

ボクはぎょっとした。

正解だ。ボクはB型だ。

どうして?と驚くボクを

あざ笑うようにこう説明した。

 

『あのな、お前はマイペースだろ?

それってB型の特徴なんだよ。

こないだだってほら。』

 

と、から揚げを箸でつまんだまま

私のほうに向ける。

 

『営業部のみんなで飲みに

行った時もお前だけ乾杯は

焼酎飲んでたじゃねえか。

普通はビールなんだよ。

とりあえずビールって

頼むのが居酒屋のマナーなんだよ。』

 

その定義はよく分からないが

確かに私はそうゆう所がある。

迎合しないというか、人とは

違うことをしたがる傾向がある。

 

『でも、それだけでBって・・』

 

『それとな』

 

まだあるのか?

 

『あれだよ、部長がカツラだって

みんな知ってて黙ってるのに

お前は平気な顔して本人に

言うだろ?ずれてますよって。

周りは冷やっとするんだぜ。

でも何故かお前が言うと

悪口に聞こえない。それって

B型の特徴だよ。』

 

『へえ、血の影響ってすごいんですね。

そんな風に態度に出てるとは

思いませんでした。』

 

『あたりまえだ!血はな、

すげぇんだよ。

血がなくなると死ぬだろ?

しかもあんなに赤いんだぞ。

あの赤は情熱の赤だ。』

 

いや、先輩。

その赤は情熱ではなく

血の赤です。って言おうと

思ったが、そう言う事が

B型の特徴のような気がして

やめた。

 

食事も終わりお姉ちゃんが

いる店にでも行くかということになり

タクシーで移動した。

今夜は遅くなるぞと覚悟を決めた。

 

幸いボクは独身で一人暮らしだから

遅くなっても咎められることはない。

先輩も最近、奥さんに出て行かれた

らしく広いマンションに一人で暮らしている。

 

『ところで、どうして奥さん

出て行っちゃったんですか?』

 

『ほらな、そうやってデリカシーの

ないことを平気な顔して聞くだろ?

だからお前はB型なんだよ。』

 

『あ!すみません。』

 

それっきり先輩は窓の外を

眺めて黙ってしまった。

やはり聞かれたくなかったんだな。

悪いことしたな。とは思わなかった。

思わないことがB型だと思った。

 

『浮気だよ。』

 

突然、口を開いた先輩が

窓のほうを向いたままポツリと

つぶやいた。

 

『オレが浮気したの。

で、ばれたの。それが。』

 

返す言葉がなかった。

先輩はとても寂しそうだった。

 

タクシーを降り、2件目の店に

入る。何度も先輩に連れてきて

もらったスナックだった。

 

カウンターにもボックス席にも

客はなく、がらんとしている。

先輩はママに忙しそうだなと

憎まれ口をたたいてカウンターに

座った。

 

『あのな。オレの親父ってのは

まじめなサラリーマンでな、

家で会社の愚痴を言う人じゃ

なかったんだ。』

 

酔っ払った先輩が唐突にしゃべりだした。

 

『小さい頃は色々なところに

連れて行ってくれたし、

キャッチボールもしてくれた。

高校のときにオレが大怪我したときも

血液型が同じだからってオレに

自分の血液をくれようとしたんだ。』

 

『そんな大怪我だったんですか?』

 

『ああ、出血多量で死ぬ寸前だった。

でもな親父はオレとは血液型が

違うんだよ。A型だ。』

 

また、血液型の話か、と

少し辟易としながら耳を傾ける。

そういえば、と考える。

先輩は何型なんだろう。

その疑問は次の言葉で

解消される。

 

『オレはお袋と同じBなんだよ。』

 

なんだ。先輩もBじゃないか。

さんざんBを馬鹿にしたような

こと言っておいて。

 

『でもな、親父のあまりの

生真面目さにお袋は嫌になった

んだろうな。ある日俺たち兄弟と

親父を残して出て行った。』

 

独白に似た雰囲気で

先輩はなおも語る。

問わず語りってこういうことか。

 

『お袋は親父のほかに

男がいたんだよ。つまり

浮気してたってことさ。』

 

『先輩と同じですね。

やっぱり血なんですかね。』

 

『血液型なんて関係ねえぇよ。』

 

いや、でもさっきから散々

情熱の赤とか言ってたじゃないですか。

先輩は随分と酔っ払ってきたのか

支離滅裂になりだした。

 

『お前な、世の中の人間を

たったの4つに分類できるわけねぇだろ。』

 

いや、ボクもそう思いますよ。

でも、先輩が散々言うから・・

戸惑うボクを尻目に先輩は

なおも続ける。

 

『いいか。世の中には

2種類の人間しかいないんだ。

血液型占いを信じる奴と信じない奴だ。』

 

もう4つどころか2つに分類しとるやん。

 

やがて限界になったのか

綺麗に拭きあげられた白いカウンターに

ゴツっと突っ伏した。

随分大きな音がしたので驚いたが

先輩はそのまま寝てしまった。

 

しばらくすると先輩のうつぶせた

顔の下から血が流れ出てきた。

 

さっきぶつけたときに鼻血

でも出たのか。

 

でもその血は情熱の赤ではなく

どす黒く汚い血だった。

 

ははあ、コレがB型の色か。

と具にも付かないことを思い

ボクは店を出た。

 

支払いを押し付けた爽快さで

気分良く帰ることができた。

 

こういうところがB型なのかな。

 

ボクッテダレダ?

 

合掌



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