320発目 台湾での話。


九份

もう何年前だろうか?

会社の同僚と台湾へ行った。

 

宿泊は台北のホテルで

そこからマイクロバスをチャーターし

九份という名所に行ったり、

モノレールみたいな乗り物で

淡水というところに行ったりした。

 

九份というところは

山の中腹に所狭しと

店が立ち並び、その様相は

まるで山自体がデパートのような

一つの建物のようであり、

店と店の間は細い通路で

つながれているため

巨大な迷路のようなものでもある。

 

普段はあまり歩かない僕達も

その日は目いっぱい歩いた。

 

後になって分かるのだが

この場所は千と千尋の神隠し

という映画のモデルになった場所らしい。

 

散々歩いて疲れ果てたはずなのに

翌日には、もう元気を取り戻し

淡水と言う場所を目指す。

 

台北の北部に位置する河口付近の

街だ。

 

小さな中華料理店が立ち並ぶ

その街はギョウザが名物らしい。

 

実は、その旅行に行っていたメンバーは

一人残らずギョウザ大好きで、

どうしてもこの街の、つまり本場の

ギョウザを食べたいと意見が一致していた。

 

店員の話によるとギョウザとは

もともと金持ちの食べ物だったらしい。

それも水餃子しか当時はなかった。

 

金持ち達が食べ残した水餃子を

女中達が翌日になって、

勿体無いから食べようと、

冷めた水餃子を焼いて

温め直したことで焼き餃子が

出来たとのこと。

 

へぇ。焼きギョウザが最初と思った。

 

そんなギョウザの歴史に触れながら

その日もたくさん歩いた。

 

さすがに二日続けて歩いたので

両足は棒のようになっており

これはマッサージでも行かないと

明日は動けないなと判断した。

 

ホテルに戻りガイドブックで

マッサージ店を探す。

 

値段が安いことと店舗が綺麗で

いかがわしくないところを選んだ。

 

一人で行く事に他のみんなは

ちょっと心配してくれたが

僕は平気だった。

 

店舗に着くとまずは受付だ。

その後、順番が来るまで

洗面器にお湯を入れたものに

足をつけ、ゆったりとハーブの

香りをかぎながらソファーで待つ。

 

これは、期待できるぞと

自分の勘を褒めたくなった。

 

日本語もある程度通じる。

 

若くて可愛らしいお姉さんが

番号札を持って現れた。

 

『イラッシャイ、ワタシニホンゴスコシ

デキマス、チャオデス。ヨロシク』

 

ふっくらと肉付きのよい体型で

色白のその女性は素敵な笑顔で

僕を施術台にいざなった。

 

まずはうつぶせ。

 

念入りに背中をもんでくれる。

 

お尻の辺りは割りと時間をかけて

もんでいる。

カタコトの日本語でコッテマスネと

言われた。

お尻ってこるんだ?

 

次は仰向け。足の先から

だんだん上に上がってきて

太ももと足の付け根を念入りに

もんでくれる。

 

このあたりから、ちょっと

違和感を感じていた。

 

やたらと局部近辺に時間をかけるな。

 

それとチョイチョイ肘や腕が

僕の股間に当たるんだ。

 

かす~っと当ててくる。

 

触るでもなし叩くでもなし

かす~っと当ててくるんだ。

 

ん?

 

あれ?そっちのサービスなのか?

 

これってチップを要求されて

性的なマッサージになるのか?

 

ああ、今日はそんな気分じゃ

ないんだよなぁ。

 

もう一度うつぶせにされる。

 

そこからは露骨に手のひらで

触ってきた。

 

私は拒むこともせずに

彼女のマッサージに身を

任せていたが、チップを

要求されても絶対断ろうと

意思を堅くした。

そうでもしないと股間が堅くなる。

というかもうすでに堅くなりかけている。

 

違うんです、これはその、

あなたの手が当たるからですよ。

決して欲情しているわけじゃ・・

 

そうこうしているうちに

約90分のマッサージが終了した。

 

どうやら最後まで平常心を

保てたぞ。保てたか?

 

 

そのままココで待てといわれ

ベッドの上で待つと、先ほどの

女性がもう一人別の年配の

女性を連れて来た。

 

日本語が話せる通訳の

役割を担ってるらしい。

 

マッサージ嬢は台湾語で

その年配の女性に

ごにょごにょと耳打ちした。

 

年配の女性は半笑いの顔で

僕に向かってこう言った。

 

『あなたの股間に手が当たったのは

わざとじゃありません。

変な期待をしないでください。

とこの子は言ってます。』

 

そして、ふふふと笑って

 

『ウチはそうゆうサービスじゃ

ありませんよ。期待してましたか?』

と年配の女性は言った。

 

僕はムッと来たが正直に

こう言った。

 

『はい、ちょっとだけ。』

 

オトコッテ・・・

 

合掌

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