45発目 おばあちゃんの耳打ちの話。


舞台IMG_1606
2012.05.24

高校のときの友人でおばあちゃんと同居してる子がいた。
土曜の昼過ぎから彼の家でマージャンをしたことがあるのだが
3時くらいからおばあちゃんが1階の雨戸を閉め始めた。
何かあるのかと、友人に尋ねると
『閉め終わる頃には、あたりは暗くなってちょうど良い』
と言うのだ。
年を重ねると動作がゆっくりになるとも付け加えた。

休憩しようとマージャンを中断し、別の友人が
トイレに行こうと1階に下りた。
叫び声がし、バタバタと2階へ戻ってきた。
彼の家は和式便所だが、通常扉を開けると
便器は向こうをむいて設置されているので
もし、誰かが入っていた場合、その人のお尻を
もろに見てしまうことになる。
ところが、おばあちゃんは逆向きに座っていたというのだ。
『時々間違うみたい』
友人は説明を加える。

なるほど。同居しているだけあって、非常に
落ち着いた対応だ。

やがて、お茶を差し入れにおばあちゃんが2階へあがってきて
みんなに挨拶をした後、小声で、消え入るような
それこそ内緒話をするように、友人の耳元で
『ゴキブリホイホイを冷蔵庫の下に仕掛けたから』
と言った。

ばあちゃん、なんでそんな小さい声で、
と咎めるように友人が声を出すと

『シッ!聞かれるよ』

ダレニ?

合掌

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