243発目 誰だお前という話。~心の支え~


ライナーノーツ
この世に地獄があるとしたら
それは、おそらくココだろう。
小学生の頃のユイは
それでもその地獄から
抜け出せないでいる自分の
幼さが嫌でしょうがなかった。

幼い頃に父親を事故で失ってから
しばらくは母と二人で暮らしていた。
母があの男を連れてきたのは
小学生3年になる頃だった。

ユイの顔を見るなりあの男は
『なんだよ、不細工なガキだな。』
と罵った。
母はそれを咎めなかった。
その瞬間からユイは母とも
口を聞かなくなった。

結局母はその男と再婚したので
小3の途中で北九州に転校することに
なった。
その頃、学校で虐められてたユイは
転校することで虐めから解放されると喜んだが
あの男と暮らすのは嫌でしょうがなかった。

あの男はやがて母の収入をあてにして
仕事を辞め母にも暴力をふるい出した。
酒に酔って帰って来た男は
ユイに『不細工は風呂にはいる必要は
ない』と言って入浴を禁止した。

ちょうど新しい学校にも慣れてきた頃だったが
入浴をさせてもらえなかった翌日から
クラスで虐めにあいだした。
ハセガワという隣に座った男の子が
『コバヤシ、臭え!』
と言ったのがきっかけだ。

学校にいても家に帰っても
気が休まる場所はなかった。
死にたかった。

唯一、ユイに優しくしてくれたのは
親戚のミキだった。
ミキは死んだ父のいとこの子供で
遠縁にあたるのだが生年月日が
同じということですぐに仲良くなった。

それまでは年に一回会うくらいだったが
北九州に越してきてからは
家が近所になったのでしょっちゅう
会っていた。

ミキの家はお金持ちだったが
両親は不仲で父親は外に愛人を
作って帰って来ず、母親は
ミキの家庭教師と不倫をしていた。
お金はあるけど不幸な家だと
こぼしていた。
ユイは決まってその時には
ウチには金すらない、と
思ったが口にはしなかった。

クラスで虐めが始まって3日目、
ユイは自宅には帰らずミキの
家に向かった。
事情を話しお風呂に入れてもらった。
ミキはあの男に対し自分のことのように
怒ってくれた。そのことが
ユイにはとても嬉しかった。

しかしある日、突然そのミキにも
不幸が訪れた。

ツヅク

合掌

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