226発目 駅の階段の話。



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ライナーノーツ




~プロローグ~

博多駅から一駅下っただけで

こんなに静かな街になるのか。

駅前には小さなロータリーと

小さなスーパーがある。

改札口は階段を上がって

すぐに左手の方だ。

改札へ続く階段の入り口には

街路樹が緑の葉を茂らせて

それに反射した太陽光が

道行く人を照らしている。

 

なんてことのない小さな街に

輝きをもたらす小さな風景に

まるで人目をはばかるように

階段下に潜む人影が。

 

ほどなく、その人影は

階段下からヌっと出てきて

階段を上って行った。

出てきた拍子に左から来た

女性とぶつかりそうになったが

何事もなかったようだ。

 

ロータリーに車を停めたヤマシタは

その一部始終を見ていたが

そのときは、ああ男性が出てきたな、

くらいにしか思わなかった。

 

ヤマシタから見て右の方角から

電車が入ってきた。

しばらくするとスーツ姿の男性が

二人、降りてきた。

ヤマシタは車を降り二人に向かって

右手を上げる。

二人もヤマシタに気づいて

同様に右手を上げる。

 

道路を横切りヤマシタに近づいて

車の後部座席に乗り込む。

 

『お疲れ様でした。

先にお昼ご飯にしましょうか?』

 

ヤマシタの提案に二人は首肯する。

 

『だったら駅のラーメン屋にしませんか?』

 

スーツの男の一人がそう提案した。

じゃ、そうゆうことで、と

スーツの二人は車を降りた。

ヤマシタは近くのコインパーキングに

車を停め急いで二人が待つ、

階段の方へ向かう。

 

 

ホリウチは部下のスズキを連れて

電車に乗っていた。

初めて来る町の景色は新鮮で

窓から差し込む日の光が

根拠のない期待感をあおる。

今日は何かおきそうだぞ、と。

 

スズキは時刻表を眺めている。

ふと顔を上げホリウチさん、と

呼びかけてきた。

このままだと到着するのは

ちょうどお昼ごろですね?と。

 

ホリウチは首を軽く縦に振り

そうだなとつぶやいた。

 

駅に着き、電車を降りる。

階段を上がり改札へ向かおうとする。

階段の脇から天然パーマの男が

ヌっと出てきてあやうく

ぶつかりそうになる。

 

天然パーマの男は謝ることもせず

足早に階段を駆け上がって行く。

ホリウチ達が上についたときには

天然パーマの男の姿は

見えなくなっていた。

 

改札を抜け指定の出口の方を

プレートで確認した。

スズキが、ラーメン屋がありますね、

と改札の正面を見ながら話しかけてくる。

ホリウチはぶっきらぼうに

そうだなとつぶやいた。

改札を抜けた右手が階段になっている。

ホリウチ達はその階段を下りた。

ロータリーに1台の車が停まっており

そこからスーツ姿の細身の男が

降りてきて右手を上げた。

ホリウチ達もそれに気づき

同様に右手を上げた。

 

 

アラームに気づかなかったのか?

それとも二度寝したのか?

そもそもアラームをセットしたのか?

いずれにしても急がないと

間に合わない。

本来なら休日だが大事なお客が

来社するので午後一番には

会社に着いている必要がある。

サイトウは急いで着替える。

普段から化粧は薄めだし

特に念入りにする必要も時間も

ない。

歯を磨き支度を整えたサイトウは

駆け足でマンションの自転車置き場に行き

駅へと向かう。

自転車を漕ぎながら腕時計を

確認しようと左手をハンドルから

離す。そのとき強い風が吹き

スカートのすそをめくろうとした。

サイトウはあわててその左手で

スカートを押さえる。

もうすぐ40になるサイトウは

気立てもよく仕事が出来る。

人望も厚く性格も良い。

なにより美人だ。

今まで何度となく男性に

アプローチされたがことごとく

断っている。

道行く見知らぬ男に声をかけられる

こともしばしばだ。

サイトウ自身は常に男性の

目を意識するようになった。

それは決して心地よいものでなく

どちらかというと、気色の悪い

所謂、嫌悪感に近い感情だった。

風が吹いてスカートを捲り上げそうに

なったそのときも前方にいた男性が

スカートの中を覗こうとしている

ような予感がしたので

しっかりと押さえた。

パンツが見えるほどのミニスカートはいて

街を歩く若い女性を見るたびに

サイトウはその男に媚びたような

格好をする女性に同姓でありながら

あきれていた。

もっと、女性らしくしなさいよ!

 

駅までの道のりに自転車を使うのは

久しぶりだった。

駅の自転車置き場は薄暗く

気味が悪いうえに、サイトウは

仕事で遅くなることが多いので

自転車置き場に近づきたくは

なかった。そのため普段は

徒歩で駅に向かう。

でも、今日はしょうがない

寝坊したから。

本当は駄目だけど、階段の下に

自転車を停めよう。盗まれてもいいわ。

と信号待ちの間に考えた。

 

横断歩道を渡り、ロータリーに沿って

左回りに駅の階段の方へと

近づいた。とそのとき

階段の下から気味の悪い男が

ヌっと出てきて彼女は思わず

ヒャっと小さく叫んだ。

男は何事もなかったように

階段を上がっていった。

サイトウは不安になったが

思い直し階段の下へ自転車を停める。

 

階段の上からスーツ姿の男性が二人

下りてきた。

すれ違いざまに若い方の男が

サイトウの方を見た気がした。

サイトウは条件反射で若い男の方を

見上げた。刹那、若い男と目が合い

すぐにそらした。

自意識過剰かもしれないが

サイトウは常に男の嫌らしい視線に

さらされていると感じている。

嫌な気持ちのまま階段を上がる。

 

もう一度腕時計をみると

電車の時間までは余裕がある。

少し腹ごしらえでもするかと

改札の正面にあるラーメン屋に

入った。

 

ツヅク

 

合掌



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