211発目 8人目の話。


ろくでなしブルース
春になるとあの頃の事を
思い出す。

仕事で1週間に一度は
上野に行っていた時のことだ。

客先でのプレゼンが終わると
必ず立ち寄る、ある場所があった。

ある場所とは、有名な
上野公園だ。

私は公園内にある不忍池の
ほとりにあるベンチで
本を読んだりコーヒーを飲んだり
その日のプレゼンの出来を
反省したりとそうゆう粋な
時間をすごしていた。

そして必ず公園内のトイレに
立ち寄ってから事務所に
帰っていた。

あるとき、その日は朝から
カンカン照りで春なのに
夏を思わせる暑さだった。
私は上野駅の売店で
アンパンとアイスコーヒーを
購入し、食べそして飲み
例のごとくトイレへ向かった。

個室に入り、気合を入れる。

棚の上に発売されたばかりの
週刊ジャンプが置いてあった。

私は特にジャンプを好んでは
無かったが、読みながらのほうが
出るモンも出やすいため
その雑誌を手に取った。

当時流行していた
『ろくでなしブルース』を
読んでいるところだった。
主人公の前田大尊と
マドンナの千秋が初めて
キスをする回だ。

ドキドキしながらページを
めくる。

キスシーンがあると思われる
ページが破られていた。

何ぃぃぃいぃ!

私は個室を見回した。

やはりだ。

紙が無い。

おそらくジャンプの持ち主は
このページで拭いていったのだろう。

なんて嫌なヤツだ。

さて、私もジャンプで拭くしか
手段が無くなったわけだ。

どのページで拭くか
パラパラとめくりながら
物色する。

悩んだ挙句、ドラゴンボールで
行こうと決めたとき
既に先客が破っていた。

一体、このジャンプで何人が
お尻を拭いていったのだろう?

私はもう一度最初から
破れているページの数を
数えていった。

全部で14ページあった。

私はこれ以上の長居は
したくなかったので
適当なページをめくって
それで拭いたが
一枚では足りなかった。

結局2枚使って
つまりは2ページを切り取って
使用したわけだ。

皆が皆、私と同じ状態であれば

と、想像をめぐらせる。

14÷2=7

私の前に7人が使用したのか。

ジャンプよありがとう。

8ニンメ

合掌

初めて上野公園に行った日の
出来事はこちら→111発目

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