234発目 父親の威厳の話。



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ライナーノーツ





とある全国組織の建設会社で
営業部長をしていたその方は
自宅が近所ということもあって
通勤電車が同じだった。

ほぼ毎朝、同じ電車になるので
色々な話ができた。
正月休みが明けたある日、
彼から私のオフィスに
電話があり、今から会いたいという。
何だろうと彼を待った。

応接室で向かえた彼は
悲痛な表情を私に向けた。

『実は退職を考えてます。』

突然の申し出に私は驚いた。
当然のように理由を聞く。

数年前からの不況の影響で
公共工事が激減した。
彼の所属する建設会社は
売上の8割近くが公共工事で
当然のように売上は落ちた。

 

『私の昨年末の冬のボーナスは
手取りで5万円弱でした。
それでも女房と今は我慢の時期だ
と話しておりました。』

 

『高校生の娘二人をなんとか
卒業させるまで踏ん張ろうと』

 

父親としての苦悩が
にじみ出て来る独白だった。

 

ところが、仕事始めの1月4日、
仕事を終え帰宅すると奥さんが
ダイニングテーブルで電気もつけず
頬杖を付いて座っていたという。

『どうした?と声をかけたんです。
すると、今日家の前を掃除していたら
近所の中学生が家の前を通り
挨拶してきたそうです。
顔見知りの子だったので
学校はいつからなの?とか
お年玉はたくさんもらった?とか
雑談をしたそうです。』

 

『その中学生の女の子は
今年はお年玉が少なかったと
言ってうなだれたそうです』

 

やはりそこにも不況の波が・・・

 

『そして女房にこう言ったそうです。
過去最低額のお年玉だった。
14万8千円だったと。』

『あなたのボーナスより
多いわ』

 

奥様のその一言で
転職を決意したそうだ。

 

彼のいた会社はそれから
まもなく倒産した。
最後まで残った人たちは
退職金ももらえなかったそうだ。
だから、彼の転職の時期は
ある意味、正解だった。

 

先日、私が札幌に転勤したことを
手紙に書いて彼に送った。

数日後、彼から折り返しの
電話をもらった。

彼はその後、転職もうまく行かず
奥さんの実家がある長崎で
農家を手伝っているそうだ。
先月、福岡の自宅にも買い手が付いて
5月に決済するそうだ。

『相変わらずの貧乏な生活ですが
まとまったお金が入るので
来年の正月には娘達に
最後のお年玉をあげようと
思ってます。』

 

『もちろん、一人15万円にしようと
思ってます。我が家の勝ちです。』

電話の向こうで笑う彼に
父親の威厳を感じた。

 

イイハナシ?

合掌



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