199発目 我輩は鳩である話。


ライナーノーツ

我輩は鳩である。

名前はまだない。

どこで生れたか頓(とん)
と見當がつかぬ。

何でも薄暗いじめじめした所で
くるっくーくるっくーと
泣いて居た事だけは記憶して居る。

吾輩はこゝで始めて
人間といふものを見た。

(しか)もあとで聞くと
それはヤマシタといふ人間中で
一番獰悪
(どうあく)
種族であつたそうだ。

このヤマシタといふのは
時々我々を捕(つかま)へて
煮て食ふといふ話である。

しかしその当時は何という
考えもなかつたから
別段恐しいとも思はなかった。

ところがある日、いつものように
仲間と連れ立ってお気に入りの
カフェにいったところ事件は
起こったのだ。

我輩がいふカフェとは
とあるマンションの最上階の
バルコニーなのだが

いつも仲間とそこに集まっては
くだらない話をしたり
糞を撒き散らしたり
とてもステキな時間をすごした。

我々にとってもっとも居心地が
良い場所だ。

我々はその性質上、一度
バルコニーの手すりに着陸して
それから一息ついてからじゃないと
バルコニーの中に入れない。

何度か直接、着陸しようと
試みたがやはりダメだ。

その日、カフェに来て見ると
手すりの上に、何か光るものが
ある。

元来、光るものが苦手な
我輩はそれでも、あの居心地の
良さをあきらめきれずに
バルコニーへ降りようとする。

だめだ。

糸のようなものを張っている。

邪悪な糸だ。

ヤマシタの邪悪な意図だ。

翼をはためかせ
悔しさに顔をゆがめながら
ふと、下を見下ろすと
ヤマシタが釣り糸をもって
嘲笑っている。

バルコニーに入れない
我々を見上げ嘲笑っているのだ。

もう二度とこのバルコニーには
入ることは出来ないだろう。

吾輩は死ぬ。
死んでこの太平を得る。
太平は死ななければ得られぬ。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。

ありがたいありがたい。

説明:
鳩がバルコニーに勝手にやってきて
糞を撒き散らすとのクレームを受けた
私は、以前NHKでやっていた
鳩駆除の方法のひとつを試してみた。

それはいとも単純なやり方で
バルコニーの手すりの部分に
7センチくらいの釘を打ち
その位置に釣り糸を張るというものだ。

鳩はいったん手すりに
つかまってから安全を確認し、
それからではないと
バルコニー内部には
侵入してこない。

そのつかまる場所に
”つかまれない”細工を
したというお話。

管理会社の仕事って

タイヘンダロ?

合掌

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クリンクリンしてくりん

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