190発目 薀蓄を披露する話。


ライナーノーツ

先日、ススキノに飲みに
行ったときのことだ。
隣に座った女の子が
私に名刺を差し出した。

見ると
『小山ゆか』
と書いている。

本名か?と問うと
いいえ、源氏名ですとのこと。

何故こんな普通の名前を
選んだのかと不思議に思ってると
逆に覚えやすいと思ってとのこと。

『ゆかぼんって呼んで下さい。』

気は進まないが
本人が熱望するので
そう呼ぶことにした。

私はとかく女性の前では
薀蓄を披露したくなるので
彼女の名前に関する
薀蓄を披露する事にした。

あのね、
ゆかぼんって何か知ってる?
漢字では床本って書くの。
浄瑠璃の太夫が高座で
語るときに使う浄瑠璃本の
事だよ。

彼女は私の言ってる事が
まるっきり理解できない様子だ。

たゆう【太夫】
①狂言、浄瑠璃などを演じる者
(の中でも上に立つ人)
②歌舞伎の女形

ちなみに女形は『おやま』と読む。

つまり私が言いたかったのは
おやまゆか という名前で
ゆかぼんって呼んでくれって
言うのは、なかなか洒落が
利いているということなのだ。

女形床本って字にしたら?

さらに、そのゆかぼん【床本】を
使う太夫にはもうひとつの
意味があって、辞書には
こう書いてある。

【江戸時代、最上位の遊女】

ほっほっほ。
おじさんと遊んでくれるのかい?

こうして今夜もススキノの
夜は更けていくのだった。

あとがき
『薀蓄を披露する』と表現したが
正確には『薀蓄を傾ける』が
正しい。
こうした知識をひけらかす奴
のことを『スノッブ』という。

でも私のことをスノッブとは
呼ばないでほしい。
このサイトによると
私みたいな男は敬遠されるらしい。
このサイト

ホットイテクレ

合掌

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