8発目 小春日和の話


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2012.03.22

小春とは11月頃の陽気が

春に似ていることから

このように呼ぶ。

 

数年前、

まさにその日は

小春日和だった。

 

窓を開け放ったまま

車を東に向けて

走らせていた。

 

住宅街の狭い道だ。

 

ちょうど小学生の

下校時間に重なったため

速度を落とし

慎重に運転していた。

 

 

前から自転車に

乗ったおじさんが

近づいてくる。

 

 

長髪を束ね、

黒縁メガネのおじさんだ。

 

大木凡人に似ている。

風雲たけし城を思い出す。

 

そのおじさんが

私の車の右側を

通り過ぎようとしたそのとき

すぐ右脇で倒れた。

 

ガシャンと派手な音がした。

 

近くを歩く小学生も

驚いていた。

 

私も驚き

急ブレーキをかけ

車を停める。

 

開け放した運転席の窓から

声をかける。

 

『おじさん、大丈夫?』

 

彼は鬼の形相で

私をにらみつけ、

こう言い放った。

 

 

 

『女です!』

 

 

シツレイシマシタ

合掌

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