184発目 誰のことか詮索しないで欲しい話。


ライナーノーツ

全然モテない男がいた。

全然モテない男は後輩に頼んで
コンパをしてもらった。

全然モテない男は自分がモテない
原因を把握していないため
当然のようにそのコンパでも
モテなかった。

モテないくせに性欲だけは
一人前にあるもんだから
余計に始末が悪い。

『ちくしょう、なんてついてないんだ俺は!』

と、お門違いの文句を吐く。

全然モテない男はやはり
稼ぎも少ないため車は
持ってないし、タクシーにも
乗れない。

コンパが終わり、仕方なく
一人寂しく自転車で家路に就く。

ふと、見ると全然モテない男の前方に
青いパンティが落ちている。

僥倖~ぎょうこう~
辞書によるとその意味は
『予想もしなかった幸運』
とある。

全然モテない男はこれはきっと
神様からのプレゼントだと
見当違いの思いを巡らせる。

全然モテない男は急ブレーキを
かけ、慌てて自転車を止める。

全然モテない男には慣性が働いていた
ため自転車は止まったが本人は
前方へ投げ出された。

『ちくしょう、なんてついてないんだ俺は』

全然モテない男はやはり
同じセリフをつぶやく。

しかし、手を伸ばせば
パンティに届く位置まで来た。

奇禍~きか~
辞書によるとその意味は
『思いがけない事故にあって
死んだりすること
僥倖の対義語』
とある。

全然モテない男がガシっと
つかんだ青いパンティは
フィレオフィッシュの
包み紙だった。

『チクショウ』

合掌

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